ニューヨーク(CNNMoney) 米ネット通販大手アマゾンを「過酷な職場」と批判した米紙ニューヨーク・タイムズの記事に対し、同社のジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)や社員らが反論を展開している。
ベゾス氏は16日、社員向けメモで「記事の内容は私が知るアマゾンではなく、日々の仕事をともにしているアマゾン社員ではない」と主張。「もし本当にこの記事に書かれているような会社だとしたら、まともな人はとどまろうと思わないはず。私だったら辞めている」と述べた。
問題の記事は、アマゾンの元社員や現社員100人へのインタビューを基に書かれたとされる。上司が日常的に従業員を切り捨て、密告行為が推奨されるような「過酷」な職場だと伝えている。
これに対してベゾス氏は、ハイテク業界では各社とも優秀な人材を獲得、保持するため、好ましい企業文化の醸成に努めていると指摘。「採用競争が激化するなかで、記事にあるようなやり方をする企業は栄えるどころか生き延びることさえできないだろう」との見方を示した。
また社員らに向けて、「報道されたような話が実際にあったら人事部門にあげてほしい。私に直接メールを送ってくれてもいい」と呼び掛け、「たとえめったにないことであっても、思いやりに欠ける行動は一切容認しないという姿勢が必要だ」と強調した。
同紙の記事に対しては、社員からも反論が出ている。同社で部門責任者を務める男性は、ビジネス向け交流サイト(SNS)のリンクトインに「誇りあるアマゾン社員として反論せずにはいられなかった」「事実を歪曲(わいきょく)した情報が多すぎる」と投稿。「他人をそつなく裏切る」と書かれた文化や、ロボットのように働く「アマボット」という表現を否定し、「これが事実ならば、私はアマゾンを公然と非難したうえで退社しているだろう」と述べた。
ただ米キャリア情報サイト「グラスドア」によると、同社の社員満足度は必ずしも高くないようだ。社員アンケートで、友人に同社への就職を勧めたいと答えた人は62%だった。社員からは人材の優秀さを称賛する一方で、ワーク・ライフ・バランスが取れないことを不満とする声が多く上がっている。
ほかの米ハイテク企業をみると、アップルでは82%、グーグルでは92%、マイクロソフトでは81%の社員が、友人にも就職を勧めたいと回答している。