(CNN) 米国防総省は12日、トルコ南部のインジルリク空軍基地から初めて有人機による空爆を行い、シリア国内の過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」拠点を攻撃したと発表した。
トルコは7月に米国と国内の基地使用の拡大を許可することで合意していたが、今回のインジルリク空軍基地からの攻撃は、その合意の一環として行われた。
米国はかねてから、トルコ国内の基地を使用し有人機でシリアやイラクのISIS拠点に空爆を加えることを希望。イラク国内の基地やペルシャ湾に停泊する空母から離陸するよりも飛行時間の短縮が見込める。特にISISが「首都」と主張するラッカがあるシリアへの空爆が容易になるとみられる。
米軍主導の有志連合軍はクルド人部隊と連携してISIS掃討作戦に当たっていることなどから、トルコは同国内の基地の使用について難色を示してきた。
トルコは長年、国内のクルド人との関係に難を抱えている。エルドアン大統領は昨年、ISIS戦闘員とクルド人部隊の両者について、「テロリスト」と言明。ただ昨年10月、シリア北部のアインアルアラブ(クルド名コバニ)が包囲された際には、イラク北部から増援に向かったクルド人部隊がトルコ領内を通過することを許可していた。
米軍はシリアでの戦闘には直接参加せず、穏健な反体制派を支援する役割にとどまっており、空爆が最大の武器となっている。空爆でのトルコの協力は大きな助けになるとみられる。
有人機を使った空爆は今回が初めてだが、トルコ南部から離陸した無人機によるシリアのテロ勢力への攻撃は今月、既に行われていた。