現代世界に生きるイスラムの発明10選

外科手術も起源はイスラムに?

2015.09.20 Sun posted at 17:30 JST

ロンドン(CNN) コーヒー発祥の地といえばイタリアがよく想起されるが、実際に広く飲まれるようになったのはイエメンが最初だ。今日の世界を形成するものの中にはイスラム圏で生まれたものが数多く存在する。

「1001 Inventions(原題)」という本では、こうした基礎的な物品やアイデアの起源に着目。1000年におよぶイスラム遺産の「忘れられた」歴史をたたえている。

同書の編者であり、「科学・技術・文明財団」の会長を務めるサリム・ハサニ氏は、「我々の知識には穴があって、ルネサンスから古代ギリシャまでひと飛びにさかのぼってしまう」と指摘する。

以下に挙げるのは、ハサニ氏が紹介するイスラムの発明10選だ。

外科手術

高名な医者ザフラウィは1000年頃、手術法について1500ページにおよぶ挿絵入りの事典を出版。その後500年にわたり、欧州で医学書として使われた。傷口を縫合する際、猫の内臓から作った糸を使うことを考案。以前は縫合後に糸を取り除く手術も必要だったが、その施術では糸が自然と消えた。また、初めて帝王切開を実施したり、鉗子(かんし)を作るなどしたとされる。

コーヒー

コーヒーは9世紀頃、イエメンで飲み始められた。当初は神秘主義スーフィズムの信奉者が深夜まで起きて礼拝するために使用した。後にカイロに伝えられると、すぐにイスラム帝国で流行。だが欧州に伝来するのは、ベネチア商人によってイタリアに持ち込まれた16世紀まで待たねばならない。

飛行装置の製造を試みた最初の人は・・・

飛行装置

飛行装置を製造して飛ぶことを試みたのは、9世紀のアッバース・イブン・フィルナスが最初だという。鳥の着ぐるみのような翼のついた器具を考案した。スペインのコルドバで行われた飛行実験が有名で、わずかの間上方に向かったものの、すぐに地面に落ちて背骨を部分的に骨折した。このデザインが数百年後のレオナルド・ダ・ビンチの空への情熱に引き継がれている。

大学

859年、若きプリンセスのファーティマ・フィリが、モロッコ北部のフェズに学位授与を行う大学を初めて設立した。きょうだいのマリアムが隣に建立したモスクと合わせ、アルカラウィン大学兼モスクに発展。1200年後の現在も運営されている。

代数

代数という言葉は9世紀ペルシャの数学者、フワーリズミーの著書の題名に由来する。この新たな代数学は、古代ギリシャやインドの体系に基づき、有理数と無理数、幾何学的な量を統合するものだった。

光学

イブン・ハイサムは1000年頃、物体が反射する光が目に入ってくることでその物体が見えることを証明。目そのものから光が放たれるとするユークリッドやプトレマイオスの説を否定した。

クランク機構は自転車など多くの製品に用いられている

音楽

イスラム圏の音楽は、カール大帝の時代から西洋に深い影響を与えてきたという。リュートやバイオリンの祖先ラバーブといった楽器は中東から欧州に伝わった。

歯ブラシ

ハサニ氏によれば、預言者ムハンマドが600年頃、歯ブラシの使用を一般に広めた。ミスワークという木の小枝を使って歯を磨き、息を清めたという。ミスワークに似た物質は今日の歯磨き粉でも使われている。

クランク

現代の多くの機械はイスラム世界で初めて実用化され、その一つがクランクだ。クランクは回転運動を直線運動に変換することで、重い物体を容易に持ち上げることを可能にする革命的な機構だった。12世紀にジャザリが考案すると全世界に広がり、自転車から内燃機関まで幅広く用いられた。

病院

病棟や教育機関を備えた現代の病院のあり方は、9世紀のエジプトに由来するという。この種の医療センターとして最初のものは、872年、カイロに設立されたアフマド・イブン・トゥルン病院。イスラム教の伝統に基づき、あらゆる人に無料で治療を施した。

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