(CNN) チェコの動物園で飼育されていたメスのキタシロサイ「ナビレ」が病死した。これで生存が確認されているキタシロサイは、世界でわずか4頭になった。
動物園の発表によると、ナビレは嚢胞(のうほう)が肥大化して手のほどこしようがなく、27日に死んだ。31歳だった。「ナビレは最高に優しいサイだった。その死が象徴するのは、節操のない人間の貪欲(どんよく)さのため壊滅的な減少に追い込まれたサイの姿だ」。同園はそう訴える。
ナビレの卵巣などは摘出してイタリアの研究所に送り、卵子を取り出して人工授精を試みる可能性があるという。その場合、生き残ったメスのキタシロサイや、個体数が豊富なミナミシロサイが「代理母」になる見通し。
キタシロサイは角を狙った密猟によって絶滅の瀬戸際に追いやられた。アジアではサイの角が多様な病気に効くと信じられている。しかしその成分はケラチンで、人間の髪や爪の成分と変わらない。
残された4頭のうち、ケニアの自然保護区にいる42歳のオス「スーダン」は、密猟を防ぐために角を切り落とされ、24時間態勢の警備に守られている。
種の存続は、スーダンと同じ保護区にいるメスの「ファトゥ」「ナジン」との交配にかかっている。しかし高齢のスーダンには自然な繁殖は難しいかもしれないと専門家は懸念する。
残る1頭の「ノラ」は米サンディエゴ動物園で飼育されている。