(CNN) アフリカ・ジンバブエの国立公園で観光客らに親しまれていた野生のライオンが殺されているのが見つかり、野生生物保護当局は28日、この事件に関連して米国人ハンターの行方を追っていることを明らかにした。
殺されたのは、同国のワンゲ国立公園に生息していた13歳のオスのライオン「セシル」。観光客の前に姿を現すことも多く、英オックスフォード大学はGPS首輪を装着して追跡調査を行っていた。
ジンバブエ公園・野生生物管理当局が行方を追っているのは、米ミネソタ州に住むウォルター・ジェームズ・パーマー容疑者。現地の警察も、この事件に関連してジンバブエ人2人を逮捕し、パーマー容疑者の行方を追っていることを明らかにした。
逮捕されたうちの1人はプロのハンターで、パーマー容疑者から5万ドル(約620万円)の報酬を受け取っていたと見られる。
調べによると、パーマー容疑者はこのハンターの案内で7月6日にワンゲ国立公園を訪れて夜間ハンティングに出かけ、餌でセシルを誘い出して撃ち殺したとされる。しかしこのライオンのGPS首輪に気付いて死骸を遺棄しようとし、皮をはいで頭部を切断した疑いが持たれている。切断された頭部は見つかっていない。
パーマー容疑者は28日発表した声明で、「私の知る限り、今回の旅行は法に従って適切な手順を経て実施された」と主張。すべての手続きは現地で雇ったプロのガイドに任せていたと述べ、「狩りが終わるまで、あのライオンが地元で人気の有名なライオンだったことも、研究対象だったことも知らなかった」と訴えた。
これまでのところ、ジンバブエの当局からも米当局からも連絡はないといい、求められれば捜査に協力するとも表明した。
ワンゲ国立公園のライオンたちの今後について当局は、「悲しいことだが、セシルが死んだ今、次の地位にあったライオンのジェリコがメスたちに自分の血統を受け継がせるため、セシルの子どもたちを皆殺しにしてしまう可能性が大きい。これはライオンにとって普通のこと」と話している。