障害者向け雇用促進プログラムで不正横行か、当局が捜査 米

CNNの取材に応じ、不正の実態を暴露する元関係者

2015.07.28 Tue posted at 16:21 JST

(CNN) 重度障害者を多く雇用する業者に対して、米連邦政府が優先的に仕事を発注する制度をめぐり、不正な運用や詐欺行為が横行していることが分かった。CNNが多数の関係者から情報を入手した。

問題になっているのは、非営利組織(NPO)「ソース・アメリカ」が運営する「アビリティ・ワン」というプログラム。1938年に視覚障害者の雇用促進策としてスタートした。

従業員のうち視覚障害者と重度障害者が75%を占める業者には、アビリティ・ワンを通じた契約により、政府機関で使うさまざまな製品やサービスが優先的に発注される。

プログラムには年間約30億ドル(約3700億円)の政府予算が投入され、このうち約23億ドルが業務委託料として業者に支払われる仕組みだ。

しかし発注を受けている業者のうち約半数は、重度障害者の従業員が規定の人数に達していないことが判明した。CNNが入手した情報によると、不正の指摘を受けて、司法省と連邦政府調達局(GSA)や国防総省の監査部門などが調査を開始している。

内部の関係者数人がCNNに語ったところによると、連邦政府機関が関与したプログラムで発覚した「最悪」の不正のひとつとされる。

連邦政府の関与したプログラムで起きた不正としては過去最悪のケースに

アビリティ・ワンを通した発注は、10社ほどの大企業に集中している。実際に発注を行うソース・アメリカの幹部らはそうした企業の幹部らと深くつながっている場合が多いという。

ソース・アメリカ側はこれに対し、CNNに送付した声明の中で「発注先の検討に当該企業の社員が関与することはない」と反論している。

アビリティ・ワンで合法的に仕事を請け負っていた企業が規定を満たしていない企業に契約を奪われ、従業員として働いていた障害者が職を失ったケースも報告されている。

情報筋によれば、従業員の中で障害者の占める割合を確認する手段が確立していないため、10~20%の割合でしか雇用していないにもかかわらず契約を獲得している例もある。また規定違反が発覚した場合の罰則もなく、違反業者は長年野放しにされてきたのが実情とみられる。

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