アニメおたくが「ISISちゃん」で過激派と戦う

「ISISちゃん」が世界に広まっている

2015.07.24 Fri posted at 15:52 JST

ニューヨーク(CNNMoney) インターネット上で「ISIS(アイシス)ちゃん」と呼ばれる女の子のキャラクターが注目を集めている。過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」の広報活動を妨害するため、世界のアニメおたくたちが使う「武器」だ。

アイシスちゃんは今年初めに日本のサイトに登場した。日本アニメを愛する世界規模のファンコミュニティで受け入れられ、この数週間で欧州や米大陸でも広がりを見せている。その目的は、ISISの発信するメッセージを乗っ取り、代わりにかわいい女の子の画像で置き換えてしまうことだ。

アイシスちゃんは緑色の瞳をした19歳。テロリストたちと同じ黒い服に身を包んでいる。手にナイフを持っていることもあるが、それは好物のおいしいメロンを切って食べるためだ。

インターネットで「ISIS」という言葉を検索すると、威圧的な男たちが罪もない人々を殺害したり、ライフルや黒い旗を振り回したりしている画像が次々と出てくる。

そんな現状をひっくり返し、検索結果にアイシスちゃんがあふれるようにしたい――それがこの反ISIS運動を展開しているグループの思いだ。

このグループはCNNMoneyの取材に対し「インターネットは私たちの戦場だ。私たちは『ISIS』という言葉の意味を変えたい」と答えた。

中東の高校生も画像作成に参加するなど世界中に動きが広がっている

このような動きは「グーグル爆弾」とも呼ばれており、画像を武器に検索結果の上位表示を争っていく。順位決定の仕組みは明らかでないため上位を勝ち取るのは容易ではないが、人気の高い画像ほど上位に来る傾向があるとされる。

最近画像を作成したという中東の高校生は「ISISとそのやり方には同意できない。自分はアニメが好きなので、取り組みを聞いたときに自分も貢献したいと思った」と語る。

世界中のネットユーザーに絵の投稿が呼びかけられ、これまでに主にアジアから、3000を超える画像が集まったという。

CNNMoneyはこのキャンペーンにかかわる何人かの活動家に接触した。そのうちの1人は、今年1月のISISによる日本人人質2人の殺害事件が全ての始まりだったと語る。法的に軍隊で報復することが不可能な日本は、自分たちにできる方法で対応した。アニメーターは人質の横にいるISISのメンバーが持つナイフをバナナに置き換えた画像を投稿してみせたという。

「こうすることで、恐怖を植え付けようとする人々をばかげた存在に見せようとした」と活動家は述べる。「まさにこの考え方だ。ISISの牙を抜いていくのだ」

運動にはルールもある。イスラム教やその象徴を侮辱しないことや、人質の画像は慎重に扱うこと。流血やポルノの画像もご法度だ。

こうした取り組みを非常に奇妙で、挑発的にすら思う人もいるかもしれない。だが、こうした擬人化の手法は日本のアニメ文化では典型的であることを理解する必要があるだろう。

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