ISIS、イラクとシリアで化学兵器を使用 現地調査団報告

2015.07.20 Mon posted at 14:10 JST

(CNN) 過激派組織「イラク・シリア・イスラム国」(ISIS)がイラクとシリアでクルド人部隊や民間人に対して化学兵器を使用したとする報告を、英国を拠点とする独立系調査機関がまとめた。

ISISはこれまでにも自爆テロや自家製爆弾に塩素などの化学物質を使ったと伝えられており、新しい化学兵器の開発を模索している可能性もある。

民間調査機関の紛争兵器研究所(CAR)とサハン研究所は先月、ISISが3回にわたって化学兵器を使用したという報告を受け、調査団を現地に派遣した。

このうち2回はISISとクルド人部隊が激しい戦闘を展開したシリア北部で、残る1回はイラク北部モスルのダム付近にあるクルド人の拠点近くに着弾した不発弾に、それぞれ化学兵器が使われたとされる。

CARの代表によると、モスルダムの調査団は攻撃の1週間後に現地入りした。その時点でもまだ、砲弾から漏れ出た濃い黄色の液体が強烈な異臭を放っていて、近付いた調査員は頭痛や吐き気などの症状を訴えた。これは塩素系薬品の中毒症状と一致するという。

クルド自治政府は19日、CNNの取材に対し、砲弾などを詳しく調べれば塩素が使われたことが確認できるはずだと語った。ISISはほかにも数回にわたってクルド人部隊に対して塩素系物質を使用したと当局者は話している。

一方、シリア北部ではISISが6月28日にクルド人部隊に対して行った集中砲撃で、意識を失ったり、腰から下に痛みを感じて一時的な局所麻痺(まひ)に見舞われるなどの被害者が出たという。

調査団が調べた弾薬の破片には、9日後もまだ化学物質が残留して強い異臭を放ち、近付くとのどや目の強い不快感に見舞われたという。付近の病院に運ばれた戦闘員数人からは、殺虫剤などに使われる化学物質ホスフィン(PH3)の陽性反応が出た。

また、民家に着弾したロケット弾には、オリーブ色の残留液体が付着していた。ロケット弾は約4キロ離れたISISが制圧する村から発射されたという。この液体も異臭を放ち、目やのどの不快感を生じさせた。

化学兵器禁止機関(OPCW)はCNNの取材に対し、CARが収集した証拠はまだ見ていないとしながらも、「有毒化学物質を武器として使用することは化学兵器の使用に当たり、化学兵器禁止条約で禁止されている」と強調した。

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