同性愛者に差別的発言も モスクワの街で実験

米最高裁では全米での同性婚を認める判断が出たが・・・

2015.07.16 Thu posted at 09:53 JST

(CNN) ロシアで同性愛カップルに向けられる差別的な視線を、1本のビデオが浮き彫りにした。同性愛者の権利を主張する活動家らがモスクワ市内での「実験」を撮影した。

実験では同性愛者役の男性2人が手をつないで街を歩き、リュックサックの中に隠したカメラで市民らの反応を撮影した。3分間のビデオの中で、カップルは心ない言葉を繰り返し投げつけられ、2回にわたって身体的な暴力を受けている。

2人は冒頭の場面で、米国の連邦最高裁が同性婚を憲法上の権利と認めた判決に言及。ロシアで同性愛者が受ける扱いとは大きな違いだと指摘した。

カップルとして市中心部の赤の広場などを歩く2人に、通行人らが「見てごらん、ゲイが2人歩いているぞ」「この国にはゲイが多すぎるな」と冷たい視線を向ける。「ロシアはどうなっているんだ」と嘆く人もいた。

白いTシャツに黒い短パン姿の男性が2人にわざとぶつかり、罵声(ばせい)を浴びせた。おびえて去っていく2人の背中に、あざけりの言葉が追い打ちをかける。

同性婚を認める米最高裁判決に喜ぶ人々

さらに別の男性が2人の間に割って入り、カップルの一方を威嚇する場面で、実験ビデオは終わっている。

最後のシーンでは、最高裁判決を喜び合う米国の人々を背景に、「地球の裏側ではこれが至って正常な光景だ。しかしロシアでは違う」というコメントが流れる。

米調査機関ピュー・リサーチ・センターが2013年に出した調査報告によると、ロシアでは「同性愛は容認されるべきではない」と考える人が全体の4分の3を占めた。

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチは最近の報告書で、ロシア政府が同性愛者への暴力を防止し、刑事責任を問う義務を果たしていないと指摘。同性愛者に対する差別を事実上合法化し、一般市民より劣った存在として扱っていると批判した。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。