(CNN) 米飲料大手コカ・コーラの中東支社はこのほど、赤と白を基調とした缶から「Coca-Cola」のロゴを外したコーラを発売した。
イスラム教のラマダン(断食月)に合わせて導入されたもので、赤地に白い筋の入ったデザインはそのままながら、商品名が入っていない。偏見のない広い心をもとうと世間に呼びかけるためだ。
缶には「ラベルは缶に貼るもの。人に貼るものではない」との記述もある。
あわせて公開された動画でも、見た目に惑わされず相手を受け入れる大切さが説かれている。
この動画では「偏見はほんの数秒で形成される」という理由から、6人の男性を真っ暗な部屋に集め、対話を通して互いの姿について想像させる。6人のなかには顔に入れ墨を入れた心理学者やこぎれいな服装のヘビーメタルのミュージシャンなどがいて、明かりがつくとそれぞれの姿に皆が驚く。
これまでにも、マーケティング戦略の一環として広告と企業の社会的活動を組み合わせた例はいくつもあるが、結果はさまざまだ。
コーヒーチェーンのスターバックスは、来店客に人種問題を一緒に考えようと呼び掛けるキャンペーンを行ったが、ソーシャルメディア上で批判が集まるなど賛否両論の反応があった。
ビューティーケアブランドのダヴは2013年、女性の自尊感情を高めることを目的とした動画を公開。法医学の専門家が、女性が自分自身に抱くイメージと他の人が同じ女性に抱くイメージのそれぞれを基に肖像画を作成。自分のイメージより周囲が感じる姿の方が美しいことを示して大きな話題となった。スポーツブランドのナイキも、「あなたのすごいところを見つけよう」と銘打ったCMで人々を勇気づけた。
長い目で見て、一時的なキャンペーンにどれだけ効果があるかは議論の分かれるところだ。だが大手ブランドには幅広い影響力があり、社会問題に新たな関心を集めることはできる。
コカ・コーラの缶からロゴが消えた?