ロンドン(CNNMoney) ギリシャで5日、欧州連合(EU)などが提示した追加支援案の是非を問う国民投票が実施された。支援案への反対票が60%以上を占め、ユーロ圏脱退や財政破綻(はたん)への懸念が強まった。
ギリシャのチプラス首相は、EUと国際通貨基金(IMF)が支援の条件として示した緊縮策では市民の生活がさらに苦しくなるとして、受け入れ拒否を呼び掛けていた。
首都アテネの路上には反対派の市民ら数千人が繰り出して勝利を祝ったが、この結果はギリシャ経済に深刻な打撃を与える恐れがある。
EUとIMFは2010年以降2度にわたりギリシャに総額2400億ユーロ(約32兆円)の金融支援を実施してきたが、今回の結果にどのような対応を示すかは不明だ。
欧州側はこれまで、国民投票で反対派が勝利した場合は「ギリシャが財政再建のために必要とされる措置を拒否したことになり、交渉の土台が崩壊する」と懸念を示していた。今後たとえ再交渉が成立したとしても、提示される緊縮策はさらに厳しさを増すことが予想される。
ドイツのガブリエル副首相は、「チプラス首相が欧州との歩み寄りに向けた最後の橋を破壊した」と述べた。
ユーロ圏財務相会合のデイセルブルム議長も「ギリシャの将来にとって非常に残念な結果だ」と話している。
メルケル独首相とオランド仏大統領は6日夜にパリで会談し、同国への対応を協議する。EU高官らとドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁も同日会合を開き、7日にはユーロ圏首脳会議が開催されることになった。
ギリシャでは先週から銀行が営業を停止し、現金自動出入機(ATM)から引き出せる金額が制限されている。アテネ市内の病院からは医薬品や食料品が残り少なくなっているとの情報が入るなど、市民生活にも影響が広がっているようだ。