(CNN) 過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」は声明を出し、シリア中部パルミラ遺跡の彫像を破壊したことを明らかにした。シリアの国営メディアもこの事件を伝えた。
ISISが3日までにソーシャルメディア上で発表したところでは、パルミラ遺跡から少なくとも6つの彫像を盗み出した1人の男がISISの兵士によって捕えられ、ISIS支配下にあるアレッポ県マンビジの「イスラム法廷」に移送されたという。
法廷は彫像がイスラムの教えに反していると認定。これを受けISISメンバーらは広場に集まった大勢の見物人の前で彫像をハンマーで破壊するとともに、男をむち打ちの刑に処した。
パルミラ遺跡は約2000年前の古代都市の遺跡で、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に指定されている。
今回ISISが破壊したのは、シカを捕らえたライオンの像で非常に価値のあるものだった。
シリア政府の文化財当局の責任者は2日、国営通信に対し、「ISISのテロリストたちはシリアで出土した最も重要な像の一つを破壊した」と述べた。像は2世紀ごろのもので、1977年に発掘されたという。
ユネスコは1日、ISISが民族浄化ならぬ「文化浄化」を行っていると非難。ボコバ事務局長は「暴力的な過激派は意図的にモニュメントや遺跡を狙っている。社会の核となる部分に打撃を与えるためだ」との認識を示した。
また同事務局長は2日、「歴史的な遺物や文化は時に、紛争の最前線になる。イラクやシリアで行われているような故意による破壊は、現代史において前例のない水準に達している」と強調した。