明朝時代の「万里の長城」、3分の1が消失

北京から約90キロに位置する万里の長城の一部、箭扣長城

2015.07.01 Wed posted at 17:54 JST

(CNN) 中国紙・京華時報はこのほど、明王朝の時代に建設された「万里の長城」の約3分の1が、自然現象や人為的な破壊によって消失していると伝えた。

万里の長城は全長2万1000キロと推定されるが、このうち14~17世紀の明朝時代にさかのぼる部分は約8000キロ。自然に形成された2000キロを除くと、6000キロが当時建設されたことになる。

その3分の1に相当する2000キロが、すでに消失してしまったという。

中国長城学会が昨年実施した調査によると、万里の長城全体のうち、現在も良好な状態にある部分はわずか約8.2%。74.1%は保存状態が悪いと判定された。董耀会副会長は「地元当局がごく少人数の手に頼っている現状で、十分な保護は望めない」と懸念を示す。

秋は紅葉の景色が広がる

最近はこれまで整備されていなかった「野長城」と呼ばれる部分にも観光客が訪れるようになり、劣化が加速している。落書きや盗難の被害も後を絶たない。歴史的な文字などが刻まれたれんがを、住民が売り飛ばしている例もあるという。

董氏は対策として、地元当局が住民に補助金を出したり正しい知識を広めたりして保護を呼び掛ることや、破壊活動への処罰を強化することを提案している。「たとえば先日、寧夏回族自治区の当局が農地開発のために万里の長城を破壊した際、責任者は口頭で注意を受けただけだった」と指摘する。

同氏はまた、地元住民が観光客に保護を呼び掛けるといった活動を、将来の世代にわたって続けるべきだと話している。

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