太陽光飛行機が太平洋横断を再開 日本からハワイへ

ハワイを目指して太平洋を横断するソーラー・インパルス=Solar Impulse

2015.06.30 Tue posted at 13:53 JST

(CNN) 太陽光エネルギーだけで世界一周飛行を目指す有人飛行機「ソーラー・インパルス」が最大の難関とされる太平洋横断に挑戦している。操縦士1人だけで日本から5昼夜飛び続け、ハワイに到着する予定だ。

操縦士のアンドレ・ボルシュベルグ氏はベルトラン・ピカール氏と交代で、今年3月から世界一周飛行に挑んでいる。成功すれば燃料を使用せずに世界一周を果たす航空史上初のケースとなる。

最も危険が大きいとされる太平洋横断を前に、悪天候のため数週間にわたって出発を見合わせ、待機していた。

ソーラー・インパルスは日本時間の29日未明に名古屋を飛び立った。プロジェクトの公式ホームページには、操縦席からの映像などがリアルタイムで流れている。

同ページによれば、操縦席の背後には緊急事態に備え、脱出用のパラシュートと救命ボートが搭載されている。

機体は、4基のモーターのうち1基が故障しても、残る3基で飛行を続けられるよう設計された。そのほか、ほとんどのシステムに予備が用意されている。

操縦席に座るアンドレ・ボルシュベルグ氏=Solar Impulse

荒天や大型機が起こす乱気流の影響を避けるため、専門家らがレーダーや衛星画像のデータを慎重に分析。機体自体からもレーダー向けに信号を発しながら飛ぶ。

昼間に十分な太陽光が得られず、夜間飛行用の充電が不足した場合は、不時着を余儀なくされる。ただし海上に不時着するなら、操縦士は感電を避けるために脱出する必要がある。

操縦士は席に着いたまま昼夜を過ごすため、血栓症などを予防するエクササイズを習得している。

精神科医でもあるピカール氏によれば、飛行中は20分ずつの仮眠を1日に10~12回のペースで繰り返す。自己催眠法によって、体を深く休息させながらも脳の活動レベルを維持し、計器のチェックを続けることができるという。

また、飛行中に機体の傾きを監視し、異常があると操縦士が装着した腕輪から振動と警告音を発する装置も搭載されている。

5昼夜にわたる空の旅

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