NATO、緊急即応部隊を3倍の4万人に 米、戦車など配備

欧州に配備される米軍の装甲戦闘車両。NATOが部隊の規模拡大に動いている=米陸軍

2015.06.25 Thu posted at 17:01 JST

(CNN) 北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルク事務総長は24日、安全保障環境の変化などに対応し、緊急事態の発生時に迅速に展開する部隊の規模を当初想定の3倍に当たる4万人とする方針を明らかにした。

事務総長はベルギー・ブリュッセルで、同部隊の大幅拡大に絡め、ウクライナ危機への介入や核戦力を含む軍事力向上を最近宣言したロシアの動向に言及。「NATOは注意深くロシアの行動の意味合いを分析する」と強調した。

NATOの「緊急即応部隊」の規模は現在1万3000人。この他、同部隊出動の先鋒となる部隊を新たに発足させる。

ただ、ストルテンベルク事務総長はNATOは冷戦時代の戦術を取り上げはしないと言明。「対決を求めないし、新たな軍拡競争も欲しない」と述べた。

NATO軍は最近、複数の軍事演習を実施。スウェーデンでも先週行い、ロシア外務省は22日、NATO諸国は破壊的な結果を招く新たな軍事対決に傾斜していると非難していた。半面、ロシアのプーチン大統領は大陸間弾道ミサイルを新たに40発追加配備する方針も示していた。

 

NATOのストルテンベルク事務総長。緊急即応部隊の大幅な増強を明言した

NATOはまた、6カ国に司令部を設置する構想も発表。これらの国はブルガリア、エストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランドにルーマニアで、各司令部にはそれぞれ約40人を配置。部隊の緊急展開に備え、共同後方支援司令部も新設する。

一方、カーター米国防長官は25日までに、バルト海沿岸3カ国とブルガリア、ルーマニア、ポーランドの東欧3カ国に数十規模の戦車、装甲戦闘車両「ブラッドレー」や自走榴弾(りゅうだん)砲などを配備すると発表した。

長官は、これら配備の目的は訓練と演習用としている。これら兵器の新たな配備について、退役准将の軍事アナリストは、戦略的な狙いが込められていると言うより象徴的な意味合いが強いと分析。

冷戦時代に米国は今回新たに配備が発表された兵器を持つ旅団を旧西ドイツ内に駐屯(ちゅうとん)させていたと指摘。バルト海の3カ国などにこれらの兵器の数量を分散させることを意味するもので、ロシアへの脅威になることはほとんど考えられないと述べた。

しかし、象徴的な意味合いを持たせることは重要ともし、NATO加盟国に対し「米国は加盟国が攻撃されたら防衛する責務を担っているとのメッセージを伝えることになる」と語った。

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