遺族の許しの言葉に容疑者は無表情、判事発言も波紋 米教会乱射

ディラン・ルーフ容疑者

2015.06.20 Sat posted at 10:49 JST

(CNN) 米サウスカロライナ州チャールストン市にあるアフリカ系米国人の教会で9人が射殺された銃乱射事件で、ディラン・ルーフ容疑者(21)が19日午後、保釈審問のため同市の法廷にビデオ出廷した。捜査当局によると、同容疑者は犯行の動機について、人種戦争を始めるためと供述しているという。

被害者の遺族らが見守る中、ルーフ容疑者はビデオ出廷した。同容疑者は現在、同州ノースチャールストンの刑務所に収監されており、安全上の問題を懸念した当局の意向で、実際の出廷は見送られた。

ルーフ容疑者は立ったまま動かず遺族の苦悩の言葉を聞いた。母を殺された女性が「あなたは私を傷つけ、多くの人々を傷つけた。だが、神はあなたを許す。そして私もあなたを許す」と語りかけたが、無表情のままだった。

ルーフ容疑者はほとんど話さず、判事の質問に対し短く返答するのみだった。

判事は冒頭で、「被害者はこの若者の側の家族にもいる」と指摘。事件の被害者だけでなく容疑者の家族も支援するよう呼びかけた。ソーシャルメディア上ではこれに対し、「無知で尊大な態度だ」などと批判する声も上がった。

判事の言葉にも批判が集まった

武器携行の罪に対して設定された保釈金は100万ドル(約1億2200万円)。この後、9人の殺害についても保釈聴聞会を開く予定だが、保釈の見込みは薄い。

事件がヘイトクライム(憎悪犯罪)として認定されれば、連邦当局によっても訴追される見通し。米司法省は19日、「この痛ましい事件が地域共同体に恐怖をたたき込むことを意図したものであることに疑問の余地はなく、ヘイトクライムや国内テロ行為も含めたあらゆる角度からこの犯罪を調査する」との声明を出した。

複数の捜査当局者によると、ルーフ容疑者は取り調べに対して容疑を認めている。動機については、人種戦争を起こすためと供述しているという。友人に対しても、酔った際に、6カ月計画として「人種戦争を起こすため」「何か狂ったことをやる」と叫んでいた。ただ計画に具体性はなかった模様だ。

また、サウスカロライナ州バークレー群当局は、短文投稿サイト「ツイッター」上に同容疑者の写真を投稿。ジャケットには、アパルトヘイト(人種隔離)政策時代の南アフリカや、白人支配が続いた旧ローデンシア(現在のジンバブエ)の国旗のワッペンが縫い付けられている。

事件では8人が即死、1人が搬送先の病院で死亡した

サウスカロライナの州法によれば、有罪判決が下りた場合、ルーフ容疑者は死刑となる可能性もある。同州のヘイリー知事は死刑を望むと発言し、チャールストンのライリー市長は個人的には死刑制度に反対するが、今回は死刑になってもやむを得ないと述べた。

犯行に使われた銃を巡っては、複数の捜査当局者がCNNに対し、ルーフ容疑者が4月に自分で購入したと明らかにした。祖父の話では、同容疑者には「誕生日の小遣い」が与えられていたものの、家族は用途について知らなかったという。

ルーフ容疑者の家族は19日、弁護士を通じて哀悼の意を表す声明を発表。「言葉では表せない衝撃と悲しみを受けており、事件の夜に起きたことが信じられない気持ちだ」などと述べた。

米教会乱射、容疑者がビデオ出廷

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