パリ航空ショー開幕へ、5つの注目ポイント

パリ航空ショーでは最先端の技術や今後の動向に注目が集まる=エアバス

2015.06.12 Fri posted at 18:00 JST

(CNN) 世界最大規模で最も長い歴史を持つ航空産業の展示会、パリ航空ショーが15日から21日まで、パリ郊外のルブルジェで開催される。今回予想される傾向を5つのポイントにまとめた。

アジアの需要増大

航空ネットワークと経済成長の間には深いかかわりがある。アジアの新興国、特に中間所得層の拡大が目立つ国で航空機の需要が伸びるのは当然のことといえるだろう。

世界の航空産業の成長の中でアジアが占める割合は、2034年までに3分の2に達する見通しだ。航空ショーでも、アジアの航空会社からの盛んな発注が期待される。

アジア市場への進出を続ける欧米のメーカーは今後、機体の整備や修理、点検といったサポートの拠点を現地に展開する必要がありそうだ。

一方でアジア諸国の課題となっているのは、空港の整備が人口増加に追いついていないこと。人口当たりの空港の数は、欧米をはるかに下回っているのが現状だ。

アジアの発展は、機体の供給よりむしろ空港の増設にかかっているともいえる。この点は、航空ショーの主要テーマのひとつとなるだろう。

リアルタイムでの機器の監視技術も進歩している

リアルタイムの監視システム

飛行中の機器の状態を逐一監視するための技術開発が、速いスピードで進展している。昨年から今年にかけて発生した複数の航空機事故を受け、この分野への関心はさらに高まった。

ただ、リアルタイムで監視する技術が普及するまでには時間がかるかもしれない。ショーでは、機内のセンサーや操縦機器のデータを地上に直接伝える技術が、多数の企業から提案されるだろう。

将来的には、飛行中にエンジントラブルが起きた場合、地上からの遠隔操作で安全に飛び続けることも可能になるのか。安全保障や法律の面で問題は残るものの、業界全体としてはその方向へ進んでいくだろう。今回のショーでも、最前線の関連技術が紹介される見通しだ。

空の上でもインターネット

携帯端末の普及によって、地上のどこからでもインターネットに接続できる時代になった。しかし機内からはまだ接続できないことが多い。これは航空各社にとって、乗客の獲得にかかわる重要な課題だ。今回のショーでも、長距離路線などでのネット接続サービスが話題に上るだろう。

ネット接続をめぐっては今後、帯域幅の拡大やハッキング防止などの安全確保に向けた技術革新が進むとみられる。

さらに、乗客が手持ちの携帯端末から食事や飲み物を注文したり、AV機器や照明を操作したりするサービスも実現するだろう。

小包の配送など無人機の用途は広がりを見せている

未来型の客室

客室のデザインは大きな可能性を秘めた分野だ。各社とも自動車業界などからヒントを得て、さまざまな構想を描いている。

航空ショーではプライバシーの確保や座席の密度、軽量化、室内の雰囲気といった観点から、各社が提案する未来の客室を垣間見ることができそうだ。

航空会社は近年、高級志向と低コスト志向を同時に実現するという難題に取り組んできた。ファースト、ビジネス、エコノミーの3クラスに加え、プレミアム・エコノミーなどの中間クラスを2つ設けて5段階にするといった提案もみられそうだ。

無人機の活用が加速

業界内で現在、最も成長が速いのは、ドローンなど無人航空機の市場かもしれない。紛争地帯で監視飛行や爆撃に使われていた無人機は最近、被災地での救援活動や航空機の整備、小包の配達など、活用範囲が大きく広がった。

一方で空港周辺でのニアミスなども起きている。航空ショーでは無人機関連の技術や活用法についても、活発な議論が交わされそうだ。

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