中国客船転覆、13人の死亡確認 400人以上が不明

現地では救出作業が続く=General Office of State Council提供

2015.06.03 Wed posted at 11:32 JST

中国湖北省監利県(CNN) 中国・湖北省を流れる長江で起きた客船「東方之星」の転覆事故で、3日朝までに13人の死亡が確認され、14人が救出された。国営中国中央テレビ(CCTV)が伝えた。

まだ400人以上の安否が確認されておらず、当局は船内に乗客や乗員が取り残されている可能性もあるとみて、大規模な捜索救助活動を続けている。

同船は乗客乗員450人以上を乗せて航行中に悪天候に見舞われ、1日午後9時半ごろ転覆した。乗船者名簿によると、乗客406人の大半は50~80歳で、最年少は3歳だった。乗船者は全員が中国人だったと報じられている。

救出された男性が国営新華社通信に語ったところでは、同船は激しい暴風雨に見舞われて船内に水が流れ込み、船体が大きく傾いた。乗客はほとんどが就寝中だったといい、この男性はわずか30秒の間にライフジャケットをつかんで船室の外へ飛び出し、船外へ脱出した。外は闇に覆われて暴風雨のために水面は荒れ、顔面をたたき付けるような雨が降っていたという。後に竜巻が発生していたことが判明した。

長江で450人あまりを乗せた客船が転覆=HERE Maps/CNN

男性は泳げなかったため、ライフジャケットにしがみついたまま漂流。水中から聞こえていたほかの乗客らの声は、間もなく聞こえなくなった。

男性は夜明けごろ岸に漂着して自力ではい上がり、建物にたどり着いて病院に運ばれた。無事を知らされた妻と15歳の息子は泣き崩れたという。

現場では潜水士が水中で捜索活動を続け、水面に出た船底の上には救助隊員が集まって船体をハンマーでたたくなどして生存者の確認を急いだ。

救出された船長と機関士は拘束され、事情聴取を受けている。現地の救難センターが新華社に語ったところでは、あまりに突然の事故だったため船長は救難信号を発信する時間がなかったという。同センターに通報したのは、水上で2人の人物を目撃した別の船の乗員だった。

現地のメディアは、泳いで川岸にたどり着いた生存者から電話で通報を受けて、地元当局が救助活動に乗り出したと伝えている。

沈没地点の水深は約15メートルだという=HERE Maps/CNN

中国の気象当局によれば、現場では当時直径1キロ以下の竜巻が発生し、15~20分間にわたって続いた。

船体は川岸から3キロほど離れた水深約15メートルの地点で転覆している。

福建省の省都・福州には臨時の窓口が設置され、乗船者の家族らが情報を求めて集まっている。

中国の李克強首相は2日に現地入りして陣頭指揮に当たった。当局は長江の上流にある三峡ダムからの放水量を減らしている。楊伝堂・交通運輸相は記者会見で、現場には捜索隊4000人以上と船舶110隻が出動して捜索救助活動に当たっていると説明、中国全土から潜水士を招集していることを明らかにした。

CNN取材班は、兵士を乗せた軍のトラックやバスが何台も現場へ急行する場面を目撃した。

転覆前の中国客船の様子

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