米で対テロ訓練、タジキスタン元司令官がISISに加入

ハリモフ元司令官。米国などで訓練を受けたという

2015.05.31 Sun posted at 16:28 JST

ワシントン(CNN) 米国務省は31日までに、過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」への加入や聖戦を宣言したタジキスタンのテロ対策担当の警察司令官だった人物が、同国や米国内で5回にわたり国務省が企画した対テロ訓練に参加していた事実を明らかにした。

この元司令官はグルムロド・ハリモフ大佐。新たに公表したネット上のビデオで訓練に加わるため3回、米国を訪れた過去を暴露。このうち少なくとも1回はルイジアナ州で実施されたと述べた。米国務省はこの主張が正しいことを確認し、訓練は2003〜14年の間に実施されたことを明かした。

対テロ訓練は安全保障面で米国と協力関係にある諸国の警察や軍関係者らに最新のテロ対策戦術などを教示するもの。ISISなどの過激派を想定していた。

米国務省当局者によると、ハリモフ元司令官は米国内などで危機対応、特殊作戦の戦術管理や戦術指導者訓練などの課程を終えた。

元司令官はビデオ映像の中で、訓練参加中に目撃した事柄が米国への敵意を募らせる要因になったとロシア語で主張。「聞け、米国民よ。イスラム教徒を殺害するために兵士たちを訓練していることを見た」などとののしった。

この後、「住む町を見付け、自宅に赴き、殺害する」と威嚇。手にした狙撃銃を使い、25ヤード(約23メートル)離れているとみられる場所に置いたトマト1個を撃ち抜く能力も誇示した。

米国務省当局者によると、元司令官と部下たちの訓練参加は中央アジアのタジキスタン政府の推薦を受けて実現していた。訓練の参加者の背景調査は事前に適切な方法で行われたとも説明した。

ハリモフ元司令官がISIS側に転じたことはプロパガンダ戦での勝利を意味するだけでなく、米国がISIS掃討で用いている内部情報が漏れる可能性があるとの懸念も生じている。

米陸軍の元諜報(ちょうほう)担当者は「対テロ作戦の策定方法を知っている。要人警護や大使館警備に当たる人物の思考方法も心得ている」とその危険性を指摘。米陸軍の元狙撃手は元司令官は戦術面でISIS戦闘員への訓練支援が可能な他、新たな戦闘員勧誘で有利な人材にも成り得ると分析した。

ISISメンバー、米の対テロ訓練受ける

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