ブラッター会長が再選、「経験豊かなリーダー必要」 FIFA

ゼップ・ブラッター氏。FIFA会長選で5選を果たした

2015.05.30 Sat posted at 11:01 JST

(CNN) 賄賂を受け取ったなどとして幹部らが逮捕・起訴された国際サッカー連盟(FIFA)は29日、スイスのチューリッヒで会長選挙を行い、現職のゼップ・ブラッター氏が5選を果たした。汚職疑惑に揺れているFIFAの再建について、同氏の適格性を疑問視する声があがる中での再選となった。

ブラッター氏は1回目の投票で133票を獲得するも、規定の140票には届かなかった。だが、過半数で決まる2回目の投票で同氏が勝利するのは確実な情勢だったため、対抗馬のヨルダンサッカー協会会長、アリ・ビン・フセイン王子が辞退した。

ブラッター氏は、「私がFIFAを再建する責務を負う」「我々にはそれが可能だと確信している」と述べたほか、4年の任期が終わった後はFIFAを去る考えを明らかにした。また、開催国選定のプロセスを巡りスイス当局が捜査を行うとしている、ワールドカップ(W杯)2018年ロシア大会と22年カタール大会については、開催地を変更しない従来の方針を改めて強調した。

汚職問題をめぐり批判が高まる中、ブラッター氏が再選を果たした背景には、過去にもスキャンダル疑惑を切り抜けてきた同氏の政治的手腕のほか、FIFA独自の投票制度がある。

汚職を巡りFIFA幹部らが逮捕された

FIFAでは、加盟209カ国が国の規模にかかわらず同等の投票権を持っており、アフリカ、アジア、中南米などの諸国がブラッター氏支持に回った。FIFAはこれまで加盟国に対し多額の分配金を約束していることから、こうした資金援助を巡る思惑があったとみられる。

同氏は投票に集まった関係者に対し、「FIFA会長として全てに対して私が責任を負うことを受け入れるつもりだ。だが、この責任は皆さんとも共有したい」「我々がサッカー界の全員を管理するのは不可能だ」と述べた。

また、サッカー界はこれまでになく「経験豊かで強いリーダーを必要としている」と主張。抜本的な改革についての確約は避け、「革命」ではなく「進化」が必要だとも述べた。

当初、ブラッター氏の5選は半ば既定路線とされていた。だが、米司法省が27日、FIFAの幹部らについて、収賄などで起訴を発表したことで状況は一変。スイス当局も同日、2018年と22年のW杯開催地選定を巡るプロセスに対し捜査を行う意向を発表したことから、対抗馬のアリ王子にも会長選勝利のチャンスが急浮上していた。

W杯招致を巡り捜査も

アリ王子は27日、投票者に向けた演説で、FIFAについて「道徳的に破綻(はたん)している」「世界が愛するサッカーの試合を食い物にする強欲な組織」などと批判。会長を含めた大がかりな改革が必要と訴えた。

会長選前には、キャメロン英首相や欧州サッカー連盟(UEFA)のプラティニ会長らが、ブラッター氏の退任を要求。プラティニ会長は、ブラッター氏が再選されれば欧州として独自の行動を起こす可能性があると表明していた。欧州はFIFAから脱退するべきだとの声まであり、ブラッター氏には難しいかじ取りが要求されそうだ。

ブラッター会長が5選 FIFA

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