北京(CNN) 中国軍が南シナ海上空を飛行する米軍の偵察機に繰り返し警告を発していることについて、中国国防省の幹部は26日の記者会見で、中国側の対応は適切だと強調、米政府がこの問題を誇張するのは隠れた動機があるためだと主張した。
国防省の楊宇軍報道官は会見で、「米軍は長い間、近距離から中国の偵察を行っており、中国軍は必然かつ合法的にプロフェッショナルな対応をしてきた。なぜ今になって突然、こんな話が浮上するのか。南シナ海は縮んだのか」と問いかけた。
同報道官はさらに、「ある特定の国が中国を至近距離から偵察する頻度が高まっており、それが問題を引き起こしている」「意図的に、繰り返しこの話題を誇大に取り上げる者もいる。その目的は、中国軍をおとしめ、地域の緊張を際立たせることにある。特定の国が将来的に行動を起こす口実を見つけるためにやっている可能性も排除しない」と語った。
南シナ海では中国のほか、ブルネイ、マレーシア、フィリピン、台湾、ベトナムが領有権を争っている。
米政府は中国の領有権に関する主張を認めていない。中国が南シナ海で行っている埋め立てや人工島の建設には、米国の同盟国を含む他国も警戒を強めている。
CNN取材班は20日、この海域の上空を飛行する米軍の偵察機「P8Aポセイドン」に搭乗して大規模な建設作業が進む様子を取材。中国海軍はこの間だけでも8回にわたって米偵察機に警告を発した。
楊報道官は南シナ海での人工島建設について、「主権の観点からは」中国本土での道路や橋の建設と変わらないとの認識を示し、建設しているのは文民施設だと強調した。
これに対して米政府内では、中国にはこの地域で米国に対抗して軍事力の強化を図る狙いがあると指摘する声もある。
25日には中国共産党の機関紙が、中国と米国との戦争は避けられないと警告する論説を掲載し、さらに緊張が高まった。
この論説について楊報道官は26日の会見で、同紙独自の見解にすぎないという外務省報道官の説明を繰り返した。
南シナ海上空からリポート