バイデン米副大統領、イラク軍を称賛 国防長官の批判発言後

バイデン米副大統領

2015.05.26 Tue posted at 18:36 JST

ワシントン(CNN) 米ホワイトハウスによると、バイデン副大統領は25日、イラクのアバディ首相と電話で会談し、過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」と戦うイラク軍部隊の「多大な犠牲と勇気」を高く評価すると述べた。

イラク軍部隊をめぐっては、カーター米国防長官が24日、CNNとのインタビューで、イラク中西部の要衝ラマディが陥落した際に「戦う意志を示さなかった」と厳しく批判。これに対してアバディ首相は、カーター氏の認識が「誤った情報」に基づいていると反論していた。

バイデン副大統領はアバディ首相との電話で、イラク軍は過去1年半にわたり、ラマディをはじめとする各地でよく戦ってきたと強調。米国は今後、イラク軍がISISの車爆弾などに対応できるよう訓練を強化すると約束した。副大統領はラマディ陥落の前にも、同市の防衛に向けて武器の供給を前倒しするとの方針を首相に伝えていた。

カーター長官の発言については、米国側がこのほかにも修正の動きをみせている。米政権のある高官は、長官が言及したのは「ラマディに限定した話」だと説明した。

イラクのアバディ首相

また別の米当局者は、ラマディで軍部隊の戦意が欠けていたのには理由があると指摘。兵士らは報酬の支払いが滞り、家族にも面会できないといった不満や、司令官への不信感を抱えていたと説明した。

同当局者によると、米国では最近、イラク軍内部の指導力不足に対する懸念が強まっているという。ラマディのような戦闘で部隊をまとめるにはリーダーの指導力が不可欠だと、同当局者は強調する。

イラクでISISが攻勢を強めるなか、米軍が同国に戦闘部隊を再投入するべきだという声も上がっているが、ホワイトハウスは一貫してその可能性を否定してきた。オバマ米大統領は先週、米誌アトランティックとのインタビューで、「イラクの人々が自国の安全保障のために戦おうとしないからといって、我々が代わりに戦うことはできない」と述べた。

米当局者らによると、ラマディ奪還のためにはイラク軍に加え、地元のスンニ派部族戦闘員に重点的に武器や訓練を与える必要があるとの見方が強まっている。

「戦う意志がなかった」 米国防長官

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