ニューヨーク(CNNMoney) 自動車部品メーカーのタカタは欠陥が指摘されているエアバッグについて、米国でのリコール(回収・無償修理)対象をこれまでの倍近い約3400万台に拡大すると発表した。米国での自動車関連リコールとしては史上最大規模となる。
タカタはこれまで約1800万台の車に搭載されたエアバッグをリコール対象としていた。約3400万台のリコールは、米国で使われている車のほぼ7台に1台に相当する。
タカタのエアバッグでは、少なくとも5人の死亡事故との関連が指摘されている。しかしタカタはこれまで、影響を受けるエアバッグすべての回収を求める米当局の求めに応じてこなかった。
問題のエアバッグは、破裂して運転席と助手席に乗った人の顔面や体に鋭い破片が刺さる事例があったことが知られている。事故に対応した警察によれば、被害者は銃で撃たれたり刃物で刺されたりしたような傷を負っていた。破片が目に当たって視力が低下するなどの重傷を負った被害者も多いという。
死者とリコールの台数が最も多いのはホンダの車だった。しかしホンダ以外の車でも2000~2011年に製造された車種を中心に多数がリコールの対象となる。
米高速道路交通安全局(NHTSA)幹部によると、エアバッグが破裂する原因は分かっていない。それでも「待ちの姿勢で米国民の安全を危険にさらすわけにはいかない」と判断したという。
リコール対象の車に装備されるエアバッグが安全かどうかも確証はないとしながらも、「安全性が増すことは分かっている」とした。
タカタは当初、エアバッグの問題が起きるのは湿度が高い地域に限られると主張して、リコール対象地域を限定しようとしていた。
NHTSAも当初は限定リコールに同意したが、後にタカタと自動車メーカー11社にリコールの拡大を指示した。さらに、タカタが調査に協力しなかったとして1日当たり最大で1万4000ドル(約170万円)の制裁金を命令。19日の時点で総額は120万ドル(約1億4500万円)に達している。
1日当たりの制裁金支払いは19日で停止されたが、今後別の制裁金を科される可能性もある。
タカタの高田重久最高経営責任者(CEO)は、「NHTSAと今回の合意に至ることができ、一歩前進できたものと認識している」との談話を発表した。