ロンドン(CNNMoney) 世界各国の小規模メーカーが、他社に先駆けて「空飛ぶ車」を発売しようとしのぎを削っている。本格生産が始まるとみられる2017年が、同業界にとっての転機になりそうだ。
一部のメーカーを挙げただけでも、米テラフギア、スロバキアのエアロモービル、米モラー・インターナショナル、オランダのパルVなどの各社が、数年以内に空飛ぶ車の製造販売に乗り出そうとしている。
テラフギアは米マサチューセッツ工科大学の卒業生が設立したメーカーで、小型機に切り替えられる自動車の製造を2017年から開始する見通しだ。既に手付金の支払いを済ませた顧客も多数に上る。
エアロモービルも開発が最終段階に入り、17年から手付金の受け取りを開始する。
一方、パルVは既に予約注文の受け付けを開始。17年春には納車が始まると見込んでいる。
モラーも手付金の受け付けを始め、米連邦航空局(FAA)に承認されれば16年には発売できると意気込む。
ただし実現までにはまだ大きな障壁がある。各社とも以前は1~2年以内に発売できると話していたが、その後は幾度も計画の延期を余儀なくされてきた。
主な理由は当局による厳しい規制だ。車両そのものについては、数々の実験を経て道路走行性能も飛行性能も実証してきた。しかし航空、道路、運輸関連の規制をクリアするには何年もかかる可能性がある。
「優れた機能を持つ製品を開発しても、当局からの承認が得られるかどうかはまったく別の問題だ」と話すのは、パルVのロベルト・ディンゲマンセ最高経営責任者(CEO)。同社のジャイロコプター型車両は、欧州と米国で道路走行と飛行のために必要な基準をすべて満たしているという。
今月にはエアロモービルの試作車が試験飛行中に墜落する事故があった。パイロットは無傷だったが、規制をクリアして安全基準を満たすことの重要性がこの事故で裏付けられた形だ。同社は17年の発売を目指す計画について、事故後も変更はないと強調している。