少数民族の数千人が漂流 東南ア諸国は受け入れ拒否

2015.05.15 Fri posted at 15:44 JST

(CNN) ミャンマーで迫害が伝えられる少数民族のロヒンギャ族が、密航業者の手配する船でマレーシアやインドネシアなど東南アジア諸国に大量に押し寄せている。マレーシア政府はCNNの取材に対し、漂着した難民は送り返すと宣言した。

人道支援団体によれば、マラッカ海峡や周辺の海では安全な受け入れ先を求めて数千人が粗末な船で漂流しているという。

こうした難民についてマレーシアの内務副大臣はCNNの電話取材に対し、「歓迎はできない」「もし歓迎し続ければ、ミャンマーとバングラデシュから何百人も何千人もやって来るだろう」と語気を強めた。

国際移住機関(IOM)は14日、女性や子どもなど350人の乗った船が密航業者に見捨てられ、タイ当局が対応に当たっていることを明らかにした。しかしタイが上陸を認めるかどうかは不明。この船は、先にマレーシア当局が食料と水を提供した後に引き返させていたという。

ロヒンギャ族はミャンマーのイスラム系少数民族。何世代にもわたって同国に住んでいるにもかかわらず、仏教徒が多数を占めるミャンマーでは隣国バングラデシュからの不法入国者として扱われ、差別を受けてきた。

ミャンマーやバングラデシュからマレーシアとインドネシアに漂着した難民は10日以来、1600人を超えた。タイ当局はマレーシアとの国境に近い同国南部の密航業者の拠点摘発に乗り出しており、このため密航業者は難民船をマレーシアやインドネシアに送り込むようになっている。イスラム教徒が多数を占める両国は、かつてロヒンギャ族に同情を寄せていた。

密航業者が海上で船を見捨ててしまうケースもあり、人権団体などは数千人が命の危険にさらされているとして、周辺国に対し捜索救助活動を呼びかけている。

しかしマレーシア、インドネシアとも、難民船は燃料や物資を提供して引き返させていると説明する。

インドネシア外務省の広報は13日、マラッカ海峡を巡航中にマレーシアへ向かう難民船を発見し、食料などを提供したと語った。「乗船者はインドネシア行きは希望しておらず、水と食料援助を求めていた」「援助物資を受け取ると去って行った」としている。

インドネシアは現在、10日にアチェ沖で保護した難民582人に食料や避難所を提供している。

一方マレーシアは、ランカウイ島に漂着した1058人を別の州に移動させ、出身国に送り返す準備を進めているという。

国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチは14日の声明で、マレーシアとインドネシア、タイに対し、難民船を「押し戻す」ことをやめ、上陸させて必要な援助を提供するよう求めた。今回のような危機的な状況になったのは、ミャンマー政府がロヒンギャ族を虐げてきたことが原因だとも指摘した。

国連難民高等弁務官事務所によると、ミャンマー西部のラカイン州とバングラデシュを船で脱出した難民は2015年1~3月だけで2万5000人を超え、死者は推定300人に上っている。

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