独で開発のマイクロカー、「カニ走行」や変形も

ドイツで開発中の小型電気自動車(EV)。車体を変形させ、車輪の向きを変えることで狭いスペースにも簡単に駐車できる=独DFKI提供

2015.05.13 Wed posted at 10:45 JST

(CNN) 「メガシティー(巨大都市)のためのマイクロカー」――ドイツの技術者チームが開発している小型の電気自動車(EV)は、カニのように横移動したり車体を短く変形したりしながら、都市の限られたスペースを自由自在に駆け回る。

「EOスマート・コネクティング・カー2(EOscc2)」と名付けられたこの車は、独ブレーメンのDFKIロボティクス・イノベーション・センターが3年前から開発に取り組んでいる。

このほど完成した第2弾の試作車は、最高時速65キロの2人乗りだ。第1弾に比べてはるかに信頼性が増したという。車体の長さは約230センチ。後輪を前方へ寄せて150センチ程度まで縮めることができる。その際車内スペースの位置は高くなるが、乗り心地は快適なままだという。一度に4時間の充電で50~70キロ走行する。

4つの車輪にはそれぞれモーターが付いている。車輪の向きを90度変えて横向きにすれば、都心の狭いスペースにも簡単に駐車できる。プロジェクトの責任者によれば、通常モードから横向きモードへの切り替えには4秒ほどしかかからない。

車体を短くした状態で横向きに走ったりその場で向きを変えたり、充電スタンドにつないだりすることも可能だ。

開発中の小型EVが普及した場合の予想図。自動運転システムが作動し、各車とも必要最小限の車両間隔を保ったまま走行する=独DFKI提供

開発チームでは、この車を何台か街の「ステーション」に置いておき、住民らが共同で使うというシステムも考えている。車を使いたい時は最寄りのステーションへ行って、必要な距離の分充電されている車を選べばいい。

ただし、この車で道路を走行するための法的許可は得られていない。また自動車メーカーに売り込もうと何社か試乗に招いたが、その先の取引へと進展する例はなかった。「現状で自動車メーカーが購入を検討するのは部品メーカーの提供する特定の装置であって、車両システム全体に関してはその限りではない」と、同責任者は説明する。

それでもチームは、引き続き自動運転や自動駐車といった機能の研究に励んでいる。前出の責任者は、かつては存在すらしていなかったスマートフォンが飽和状態といわれるまでに普及したことを引き合いに出し、今後10年間のうちに大手メーカーから自動運転車が続々発表されるとの見方を示した。

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