「圧力かかれば」核兵器使用も 北朝鮮高官に単独取材

CNNの単独取材に応じた北朝鮮国家統一研究所のパクヨンチョル副局長(左)

2015.05.08 Fri posted at 13:07 JST

平壌(CNN) 北朝鮮の高官が平壌でCNNの単独インタビューに応じ、北朝鮮が進める核兵器開発について、「米国が圧力をかけるなら」核を使用すると言明した。

インタビューに応じたのは、北朝鮮上層部とつながるシンクタンク、北朝鮮国家統一研究所のパクヨンチョル副局長。北朝鮮の高官が外国の報道機関の直接取材に応じるのは極めて異例だ。パク氏はCNN取材陣と握手しながら「外国のメディアに話をするのは好きではない」と述べた。北朝鮮についてうわさやでっち上げに基づいた報道をするというのがその理由だ。

取材に当たって北朝鮮側が出した唯一の条件は、テーブルごしに着席してパク氏の後ろに掲げられた故金日成、金正日両氏の肖像画が見えるようにすることのみ。パク氏は約2時間にわたり、核開発問題から人権問題まで幅広い質問に答えた。

まず、金正恩(キムジョンウン)第1書記が高官15人を処刑させたと韓国の情報機関が伝えたことについて質問すると、パク氏は「悪意に満ちた中傷だ。最高指導者である金正恩氏の名に対してそのような主張を結び付けようとするとは」と非難した。

ただ、体制や制度の転覆を図ろうとした人物の処刑が行われている事実は否定せず、「敵性分子の追及や処罰、処刑は、どの国でも行われているごく普通のことだ」と指摘した。

軍事パレード時に公開された北朝鮮のミサイル=2010年10月、平壌

北朝鮮の収容所で殺人や飢餓、拷問など大規模な人権侵害が横行しているとした国連の報告書については、そのような収容所は存在しないと反論。犯罪者の矯正施設は存在するものの、政治犯の収容所は存在しないと語り、「我々の社会には政治的対立や派閥や政治的分裂は存在しない。つまり、『政治犯』という用語はない」と強調した。

さらに、そうした証言を行う脱北者は米国や韓国によって脱北をそそのかされたり強要されたりした人物だとも述べ、「いわゆる脱北者の中には犯罪者もいる。国家に対する罪を犯したために逃亡せざるを得なくなったのだ」との見解を示した。

人権問題では米国にも矛先を向けた。「米国では多くの黒人が警察に殺害されたことを受けて人種暴動が起きている。刑務所はいっぱいで、新しい拷問の手段が使われている」

核開発に話が及ぶと、北朝鮮のミサイルには米本土を攻撃できる能力があるとし、米国が圧力をかけてくるなら核兵器の使用にも踏み切ると言明。「我々は米国の脅威に対抗するため核防衛に多額を投じた。これだけの額をほかの分野に投資すれば経済を発展させることもできたかもしれない。だがこの戦略的決断は正しかった」と主張した。

その上で、「北朝鮮は今や政治的、イデオロギー的、軍事的に大国である。最後に残った目標は強力な経済大国になることだ」と力説した。

北朝鮮高官が異例の単独取材で核使用に言及

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