独墜落機の副操縦士、別の便で「リハーサル」 仏報告書

副操縦士が当日乗務した別の便で墜落の「練習」と見られる操作を行っていたという=Michael Stappen氏提供

2015.05.07 Thu posted at 10:27 JST

(CNN) フランス南部で3月に旅客機を故意に墜落させたとされる独ジャーマンウィングスの副操縦士が、当日乗務した別の便で、墜落の「リハーサル」と見られる操作を行っていたことが分かった。フランス航空事故調査局(BEA)が6日に発表した中間報告書で明らかにした。

ジャーマンウィングス9525便は3月24日にスペインからドイツに向かう途中でフランスのアルプス山中に墜落し、搭乗していた150人全員が死亡した。同機のアンドレアス・ルビッツ副操縦士は機長を操縦室から締め出して、同機を故意に墜落させたと見られている。

中間報告書は、飛行記録を示すフライトデータレコーダーや、操縦室の音声を記録したボイスレコーダーの解析結果などをもとにBEAがまとめた。

それによると、ルビッツ副操縦士はこの日、同じエアバスA320型機に乗務してドイツとスペインの間を往復していた。乗員は6人全員が同じ顔触れだった。

リハーサルと見られる操作が行われたのはドイツからスペインへ向かう行きの飛行の途中だった。

ルビッツ副操縦士は操縦室で1人になった時を見計らい、高度を下げるよう指示された際に100フィート(約30メートル)の高度を選択していたことが判明。3秒後には4万9000フィートの高度設定に切り替え、続いて3万5000フィートを指定した後、2分もたたないうちに再び100フィートを指定して、何度か設定を切り替えた後に2万5000フィートで安定させた。

墜落現場で作業にあたる捜査員=3月、National Gendarmerie提供

ここで機長が操縦室に戻った。ルビッツ副操縦士が操縦室に1人でいた時間は5分足らず。機長や管制は高度設定の切り替え操作が行われていたことには気付かず、同便は予定通りバルセロナに到着した。

ルビッツ副操縦士はこの後バルセロナからドイツのデュッセルドルフに戻る便に乗務し、故意に墜落させたとされる。報告書によれば、高度を下げ続ける同機に対し、フランスの管制が3つの周波数を使って11回にわたり呼びかけを行ったが応答はなく、フランス軍の防衛システムからも3度にわたって連絡を試みたがやはり反応はなかった。

高度3万8000フィートに達した時点で操縦室を出ていた機長(当時34)は約4分後に戻り、再入室しようとブザーを鳴らした。ボイスレコーダーには何度も扉をノックする音や、扉を開けろと呼びかける声が録音され、激しく扉をたたく物音が繰り返された約30秒後、同機は墜落した。

ルビッツ副操縦士にはうつの症状があったとされ、この問題をきっかけにパイロットの精神面の健康管理は世界的な論議の的になった。

別便で「リハーサル」か 独機墜落

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