警官6人を殺人などで訴追 米黒人男性死亡

警察官6人の訴追を発表するモズビー検察官

2015.05.02 Sat posted at 10:57 JST

(CNN) 米メリーランド州ボルティモアで警察に逮捕された黒人男性フレディー・グレイさん(25)が死亡した事件で、州検察は1日、逮捕に関与した警察官6人を第2級殺人罪などで訴追すると発表した。

モスビー検察官はグレイさんが警察のワゴン車で移送されていた時の状況について、手錠と足かせをはめられた状態でシートベルトを付けないまま車に乗せられていたとし、この間に「首に致命的な重傷を負った」と断定した。

ワゴン車を運転していた警察官が最も重い第2級殺人罪に問われたほか、他の警察官全員が第2級暴行罪などで訴追された。3人には過失致死罪も適用された。

ボルティモア市のローリングズブレーク市長は警察トップに対し、訴追された6人の即時停職処分を求めた。

訴追決定の知らせを受け、捜査の遅さを批判して抗議に集まっていた人々は一斉に歓喜に沸いたほか、全米から決定を支持する声がソーシャルメディアで寄せられた。

グレイさんの義父は、家族は訴追に満足しているとして、「正義の実現に向けた重要なステップだ」と述べた。

グレイさんは拘束後、警察の車で約40分間輸送されていた

一方、警察の組合は、モズビー検察官に利益相反が認められると批判。警察による捜査の結論を待たずに訴追したことにも失望を表明し、「警察官にも適切な法手続きを受ける権利がある」とした。同組合の弁護士は「グレイさんを傷つけた警察官は一人もいない」と主張した。

訴追された警察官6人の予審は5月27日に予定されている。

モスビー検察官は、逮捕から死亡に至る経緯についても明らかにした。これによると、オートバイでパトロール中の警察官2人がグレイさんと「視線を合わせた」際、グレイさんは逃げ出した。警察官が追いつくと、グレイさんは無抵抗となり、地面に押さえつけられて後ろ手に手錠をはめられた。グレイさんは息ができないと伝え、吸入器を求めたが、警察官は応じなかった。グレイさんはこの時ナイフを所持していたが、州法で許可されている種類のもので、拘束すべき理由は無かったという。

だが、警察官はグレイさんを連行するためにワゴン車を手配。車に乗せられたグレイさんは、シートベルトを着用させられなかった。車は約40分間走行し4回停車。最初の停車時にグレイさんは車外に連れ出され、足かせをはめられてから、頭から腹ばいで後部座席に乗せられた。

訴追を発表した検察官を支持するデモ参加者

4度目の停車では、別の容疑者が後部座席の別区画に乗せられた。同容疑者は、グレイさんが輸送中に自傷行為に及んでいたと自身が捜査官に伝えたとする報道を否定。グレイさんが激怒し叫んでいたとする報道も「事実と完全に異なる」とし、唯一聞こえたのは、小さなたたく音だったと証言。「そこにいる誰かが頭を打ち付けているのだと思った」と述べた。

グレイさんは移送の途中で治療を求めたが、治療行為は受けられなかった。警察署に着いた時にはグレイさんは既に息をしていなかったという。モズビー検察官はこうした警察官の行為には「重大な過失がある」と述べた。

警察官6人を殺人容疑などで訴追 ボルティモア

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