北京の大気汚染、新生児の体重に影響? 五輪絡み調査

環境問題にも注目が集まる

2015.04.30 Thu posted at 17:58 JST

(CNN) 米国の健康医学関連誌は30日までに、2008年の北京五輪開催中に胎内にいた赤ちゃんの出産時の体重は1年前もしくは1年後の同時期の胎児より重い傾向があったとする新たな研究結果を発表した。

五輪開催中のより清浄な空気が要因とみている。中国当局は大会期間中、大気汚染の緩和を目指すさまざま措置を講じていた。

同誌「Environmental Health Perspectives」によると、五輪の間、妊娠8カ月目の段階にあった赤ちゃんの体重は07年もしくは09年の同時期に母体にいた赤ちゃんより平均で23グラム重かった。

北京五輪は08年8月8日から9月24日まで開催。世界で大気汚染が最悪な都市の1つとされる北京市当局はこの間、周辺の工場などの閉鎖、人工降雨の処置も講じ、交通量の規制も実施していた。

同誌の報告書によると、大会期間中の大気汚染物質の量は18〜59%減少していたという。報告書を作成した中国人研究者は大気汚染は体重の少ない新生児の誕生につながる可能性があると指摘。これらの新生児は必ずしも健康ではないと言い切れないが、出産から最初の1カ月の間、健康面でより多くのリスクに遭遇していたとし、成長した後に発生した一部の疾病と関連付けられたとも説明した。

北京など中国各地で大気汚染が深刻化

報告書はまた、大気汚染の減少と妊娠8カ月の胎児の体重増加の間には顕著な因果関係があったとも主張。妊娠8カ月は、赤ちゃんの体重が激増する時期ともされている。妊娠1カ月から7カ月の胎児の場合は、目立った関連性がなかったという。

報告書は北京で生まれた赤ちゃん計8万3672人のデータなどを基に作成された。

中国の一部都市は世界の都市で最も大気汚染が深刻とされ、13年に公表の報告書は中国人の寿命は5年半縮められる弊害を受けているとも結論付けていた。

中国に進出する外資企業にとっても大気汚染は頭の痛い問題となっており、駐在する幹部確保のため「公害ボーナス」や値段の張る「空気清浄器」も提供するなどの対策に追われている。改善されない煙霧などに対する中国住民の不満も高じており、インターネット上で今年公開された被害告発の映像は大きな反響を呼んでいた。

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