欧米の経済制裁でロシアの損失額は約13兆円、首相明かす

ロシアのメドベージェフ首相。欧米による経済制裁の損失額が約1067億米ドルに上るとの見方を示した

2015.04.23 Thu posted at 19:59 JST

ロンドン(CNNMoney) ロシアのメドベージェフ首相は23日までに、ウクライナ危機に伴い欧米諸国などが発動した経済制裁でロシアが被る損失額は推定約1067億米ドルに相当することを明らかにした。

演説の中で言及したもので、ロシア首脳がこの種の数字を公式に示したのは初めて。昨年の損失額は約267億ドルで、今年は800億ドルに膨らむと想定している。約1067億米ドルは現在の為替相場では約12兆8000億円相当。

ロシア当局が発表した最新の貿易統計にはこの苦境が反映されており、外国貿易総額は今年の最初の2カ月間で約30%減少。最大の貿易相手である欧州連合(EU)との総額は3分の1以上縮小した。

同首相は「幻想を抱くべきではない。我々が現在直面しているのは短期的な危機のみではない」との危機感を表明した。

ロシアは経済制裁に対抗し、欧州からの食糧輸入禁止を打ち出したが、この措置がインフレを加速させる逆効果も招いている。今年3月のインフレ率は過去13年で最高水準である約17%に上昇。食糧輸入は今年1、2両月、40%減少した。インフレ対策として政策金利をかつてない高水準に引き上げる措置も迫られた。

プーチン大統領。アジアとの交易拡大の方針を示している

ロシアは主要な外貨獲得源である原油輸出の価格下落にも悩んでいる。国家歳入の約半額は原油やガス輸出に頼っているが、今年の最初の2カ月間でエネルギー輸出額が約40%減ったことを受け、歳出の切り詰めを強いられた。

同国の国内総生産(GDP)は今年、最大で5%の落ち込みも予想されている。

ロシアのプーチン大統領は欧米の経済制裁の影響を打ち消す姿勢を前面に出し、アジア諸国など中心に交易を広げる考えを表明している。今月には、ロシア経済は2017年に拡大基調に転じるとの見通しも示していた。

ただ、この期待は希望的観測に過ぎないとの見方も出ている。主要な貿易相手国の間で今年に入りロシアとの取引が増えているのは日本のみとなっている。

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