(CNN) はしか、おたふくかぜ、風疹の新3種混合(MMR)ワクチンを接種すると自閉症の発症率が上がるとの説について、米国の研究チームが9万5000人超の子どものデータを分析し、発症率への影響はないとの結論を発表した。
研究結果は21日、米医師会が発行する専門誌「JAMA」に発表された。チームは民間保険会社に請求された医療費に関する大規模なデータベースを基に、9万5727人の子どもたちを11年間にわたって追跡調査。MMRの接種を受けたグループと受けなかったグループに分けて、自閉症の発症率を比較した。
チームでは特に、自閉症の兄や姉を持つ子どもたちに注目した。このようなケースでは、下の子も自閉症と診断される割合が高くなることが知られている。
その結果、自閉症の兄姉がいる子どものうち、MMRを1~2回接種されたグループが、接種されなかったグループより自閉症を発症しやすいことを示すデータは全く見つからなかったという。
研究の資金は米国の国立精神衛生研究所(NIMH)、国立衛生研究所(NIH)と厚生省が提供した。
チームに参加した小児科医のアンジャリ・ジャイン氏は「MMRワクチンが自閉症の発症に悪影響を及ぼすという関連性は全くみられなかった」と強調。「すでに多くの研究で同様の結果が出ているにもかかわらず、関連を主張する説は消えていない」と指摘した。
研究では、自閉症の兄姉がいる子どもはそうでない子どもに比べ、MMRワクチンの接種率が約10%低いことも明らかになった。
自閉症の原因について、医学界は今のところ一致した見解に至っていない。MMRとの関連をめぐっては、英国の医学誌に1998年、ワクチンの接種によって発症率が上がるとする論文が掲載され、ワクチン反対を訴える団体などが大きく取り上げた。論文の執筆者はその後、医師免許をはく奪されている。