外国人襲撃の現場をカメラマンが撮影 南アフリカ

暴力事件を目撃したジェームズ・オトウェー氏

2015.04.21 Tue posted at 11:43 JST

ヨハネスブルク(CNN) 外国人への暴力事件が続発している南アフリカで、道路を歩いていたカメラマンが偶然、暴力の現場を撮影した。襲われた男性は搬送先の病院で死亡した。

現場は最大都市ヨハネスブルクの路上。同市アレクサンドラ地区で外国人経営の店舗などが略奪され、破壊された翌朝のことだった。

カメラマンのジェームズ・オートウェー氏は市内を取材中、モザンビーク出身の男性が4人の男に取り囲まれ「勘弁してくれ」と訴える場面に遭遇。男たちが男性を工具で殴り、ナイフで刺す経緯の一部始終を、持っていたカメラで撮影した。

一連の写真を振り返ると、それはわずか2分間の出来事だったという。同氏によれば「かれらは残忍な悪党の顔をしていた。男性を殺すことだけを考えているようで、制止するすべもなかった」という。

オートウェー氏は最初、現場から20メートルほど離れた位置にいた。自分の存在に気づいた犯行グループが襲撃をやめて逃げ出すかもしれないと考え、4~5メートルの距離まで近寄ったという。

外国人に対する暴力事件が広がり警察が鎮圧に乗り出している

グループがついに去った後、同氏は一緒にいたもう1人のジャーナリストとともに男性を車の後部座席に乗せ、病院へ運んだ。「男性がまっすぐにこちらを見た瞬間を覚えている。ショックを受けてぼうぜんとした表情だった」と、同氏は語る。

同国の日曜紙サンデー・タイムズは一面に「南アの恥」と題し、オートウェー氏の写真を掲載した。ズマ大統領はテレビを通した記者会見で「恐ろしい写真だ」と語った。

警察はこの写真に基づき、犯行グループの4人のうち3人の容疑者と逮捕したと発表した。オートウェー氏は「男たちに激しい怒りを感じる。私たちが最終的に男性の命を救えなかったことも無念だ」と話している。

同国では最近、近隣諸国からの貧しい移民を狙った暴力事件が続発し、これまでに7人の死者が出ている。国連によれば、市民らと外国人労働者との間で3月に起きた労働争議がきっかけとなった。

地元メディアは、南ア最大の部族であるズールー族の王、グッドウィル・ズウェリティニ氏が「外国人は国民の仕事を奪っている。荷物をまとめて出て行くべきだ」と発言したことが、暴力の引き金になったと伝えた。ズウェリティニ氏は20日、「移民との戦いを呼び掛けたつもりはない。私が今求めているのは、わが国に滞在する外国人を全員、出身国にかかわらず保護するための戦いだ」と主張した。

外国人襲撃の現場をカメラマンが撮影 南アフリカ

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。