ロシア、イランへのミサイルシステム禁輸を解除

2015.04.14 Tue posted at 18:20 JST

(CNN) ロシアは13日、イランへの高性能のミサイルシステムの輸出を解禁した。これに対して米国や、イランと敵対するイスラエルが強い懸念を示している。

ロシアは2010年以降、イランへの制裁として地対空ミサイルシステム「S300」の売却を凍結していた。

ラブロフ外相によれば、イランの核開発問題をめぐる交渉の進展を受けて解禁に踏み切ったという。ロシア国営イタル・タス通信によると、同外相は「現時点でこのような自主的な禁輸措置の必要はなくなった」との見解を示した。

ラブロフ外相は「S300は防衛専用のシステムだ。イスラエルなど近隣諸国を危険にさらすような攻撃を目的とした設計ではない」と強調した。

これに対してイスラエルや欧米は、S300がイラン核施設への攻撃を阻止するために使われることを懸念している。

ロシアが制裁緩和に踏み切ったことについて、米国務省のハーフ報道官代行は「国連安全保障理事会の決議違反には当たらない」との見方を示したうえで、「建設的な動きではない」と非難。ケリー国務長官が13日、ロシアのラブロフ外相との電話会談で懸念を表明したことを明らかにした。

ロシアのペスコフ大統領報道官によれば、禁輸解除は13日にプーチン大統領の署名と同時に発効した。S300の引き渡しはいつでも開始できる状況だという。

イランの核問題をめぐっては、欧米など6カ国と同国が今月初め、包括的な解決に向けた枠組みで合意した。6月末までに詳細な最終合意に達することを目指している。ただし欧米諸国が対イラン制裁を解除する時期などについては合意の見通しが立っていない。

イスラエルや米議会の強硬派は、枠組み合意自体がイラン側への妥協だと反発している。イスラエルのスタイニッツ情報相は、「イランが成立したばかりの枠組み合意の条項をひとつずつ拒否していく一方で、国際社会はすでに制裁緩和を始めている」と批判した。

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