預け荷物の盗難被害、5年で3億円 米空港係員の逮捕者続出

空港で盗難の被害に遭い見つかった品々=LAPD提供

2015.04.14 Tue posted at 16:04 JST

マイアミ(CNN) 米フロリダ州のマイアミ国際空港に駐機した旅客機の機内。数人の荷物係が乗客の預けた荷物をあさって貴重品などを盗み出している。その様子を隠しカメラが撮影していることに、本人たちは気付いていなかった――。

カメラは空港係員による手荷物窃盗を捜査しているマイアミ・デード警察がひそかに仕掛けていた。「荷物からの盗難の苦情が減るまで防犯対策を続ける」と警察は強調する。

CNNの調査によれば、貴重品の紛失に関して2010~14年に米運輸保安局(TSA)に寄せられた苦情は3万621件に上る。その大半は預け荷物から盗まれたという苦情で、被害総額は250万ドル(約3億円)に達していた。

荷物からの盗難の届け出が多かったのはニューヨークのJFK国際空港を筆頭に、ロサンゼルス、オーランド、マイアミの各国際空港の順だった。

貴金属や時計、衣服などの被害が多く報告されている

JFK空港では13年にイスラエルのエル・アル航空が設置した隠しカメラで、荷物係がイスラエル行きの便の乗客の荷物から高級腕時計やiPhone、iPad、カメラ、金の指輪や現金などを盗む現場をとらえた。

地元検察によると、この時は係員6人が逮捕され、盗品所持や窃盗の罪を認めたという。

さらに14年には同空港の荷物係2人が逮捕された。調べによると、2人はデザイナーブランドのハンドバッグ2個をスーツケースから盗み、インターネットオークションで転売しようとしたという。

同年12月には、日本やハワイ、ロンドンなど世界各国から来た乗客の預け荷物から貴重品を盗んだとして、さらに7人が訴追された。

届け出が多かった空港はニューヨークのJFK国際空港

係員による窃盗の摘発に力を入れるマイアミ空港では、今年に入って逮捕した6人を含め、2012年以来これまでに31人の荷物係が逮捕された。

警察が昨年、機内に仕掛けた隠しカメラでは、係員が手荷物をあさって貴重品などを盗み出す場面を撮影。空港内の保安区域にある荷物室に仕掛けた隠しカメラにも、荷物係が乗客の荷物を探し回る様子が映っていた。

CNNの取材では、米国内の主要空港のうち係員に対して金属探知機による検査を義務付けているのはマイアミとオーランドのみ。マイアミ空港は係員が持ち場を離れる際のチェックも行っているが、それでも窃盗は阻止できていない。

ロサンゼルス国際空港では昨年、2つのターミナルで盗難の苦情が相次いだことを受けて警察が25カ所を捜索。コンピューター、腕時計、宝飾品、カメラ、高級バッグなどが発見され、空港係員16人が解雇された。

こうした捜査が奏功して窃盗の件数は60%減ったと同空港の警察は説明する。一方で、荷物窃盗はテロとの関係も疑われるとして警戒を強めている。

カメラがとらえた、米空港係員による盗難の現場

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。