空爆逃れてイエメン脱出、「地獄の航海」経てアフリカへ

空爆を逃れて孫とともにイエメンを脱出してきた女性

2015.04.10 Fri posted at 15:03 JST

ジブチ(CNN) 孫娘をひざに乗せた女性は、その頬の涙をスカーフでぬぐっていた。まだ生後数カ月。空爆が始まった夜、イエメン南西部ビリム島のモスクで夜通し孫娘の耳をふさごうとし続けた。爆音が鳴り響くたび、孫娘は泣き叫んだ。

イエメンでサウジアラビアが空爆を開始して以来、何千人もの市民らが激しい爆撃を逃れ、海を渡って対岸のアフリカ東部ジブチに避難している。

アミナ・アリ・カシムさんはミサイルが着弾する直前に自宅から避難して、最悪の事態は免れた。「近所の人が夫に『すぐに避難を』と叫び、私たちは夢中で逃げた。家を離れた直後、すぐ近くに1発目のミサイルが、続いて2発目が落ちた。地上の物は全部燃えた」と振り返る。

日が昇るとほかの3家族と共に、一家でビリム島を出港。25人を詰め込んだ小舟は、バブ・エル・マンデブ海峡を渡って対岸のジブチを目指した。

原油タンカーや貨物船が頻繁に往来する同海峡は今、イエメンからの難民を乗せた粗末な漁船が押し寄せる。

アフリカ東部ジブチにはイエメンからの避難民が押し寄せている

カシムさんの息子のモハメドさんはこの航海を、「地獄に飛び込んだようなもの」だったと形容する。「女性たちは激しい吐き気に見舞われた。あまりに悲惨な光景だった」

5時間かかってようやくジブチ北部に到着した。政府はオボックに仮設避難所を設置しており、今後さらに数千人の難民が押し寄せると国連は予想する。

カシムさん一家は間もなく、郊外にあるビニールテントに移らなければならないという。イエメンに残してきた2人の娘とは連絡が取れず、耐えられないほどの不安が募る。ひざの上の孫娘に目をやって、「もう泣き止むことができないのかと思った。その恐怖は一生付いて回るかもしれない」とつぶやいた。

空爆逃れてイエメン脱出

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