ワシントン(CNN) 米ホワイトハウスのコンピューターシステムで、ロシアのハッカー集団によるとみられる新たな侵入の形跡が見つかった。事情に詳しい米当局者らによると、非機密扱いの情報が流出していた恐れがある。
米連邦捜査局(FBI)、大統領警護隊(シークレットサービス)と複数の情報機関が詳しく調べている。これまで米政府に対して仕掛けられたサイバー攻撃の中で、最も巧妙なケースのひとつとされる。
ハッカー集団は正体を隠すため、世界各地のコンピューターを経由したうえでホワイトハウスのシステムに侵入したとみられる。しかし、ロシア政府が関与するハッカー集団であることを示す特徴的なコードなどが見つかっているという。
米国家安全保障会議(NSC)の報道官は、この件についてのコメントを控えた。米国務省やロシア大使館にもコメントを求めたが、現時点で返答はない。
ローズ米大統領副補佐官は7日、CNNのインタビュー番組で、侵入されたのは非機密扱いのシステムのみだと指摘。ホワイトハウスは機密情報用に別のシステムを使っているため、国家安全保障上の重要情報などは流出していないと強調した。
ローズ氏によると、ホワイトハウスは非機密扱いのシステムについても定期的にセキュリティ対策を更新してきた。さらに、非機密システムで流す情報は流出の恐れがあることを、職員らは常に念頭に置いているという。
とは言え、米当局者らによると、非機密システムには大統領のその時点での動静の詳細など通常は公開されない情報も流れ、外国の情報機関などにとっては貴重な情報源となり得る。
ハッカー集団はまず米国務省のシステムに侵入し、そこからホワイトハウスに「フィッシングメール」を送ったとみられる。フィッシングメールは正規メールを装って偽のサイトなどにアクセスさせ、相手の情報を盗み出す手口だ。
国務省のシステムには昨年も、ロシアのハッカー集団が数カ月にわたり侵入を続けていたとされる。ホワイトハウスも昨年10月、非機密システムに不審な活動の形跡が見つかったとして、セキュリティ対策を強化していた。
ホワイトハウスのシステムに侵入の形跡