(CNN) 1996年以来ライオンの生息が確認されていなかったアフリカ中部のガボンで、約20年ぶりにライオンの姿が捉えられた。
かつて多くのライオンが生息していたガボンでは、1996年に密猟者が2頭の子どもを連れた雌ライオンを殺したのを最後に目撃情報がなかった。
2001年にはネコ科の野生動物の国際保護団体「パンセラ」のフィル・ヘンシェル博士が実地調査を実施。生息が確認できず、密猟が盛んに行われていた環境から判断して「この地域では(ライオンが)絶滅した」と宣言した。
ところが今年1月、マックス・プランク進化人類学研究所がバテケ高原国立公園で撮影したビデオに雄ライオンが映っているのを発見した。同研究所はチンパンジーの研究のために撮影を行っていた。
「信じられなかった。この地域のライオンは絶滅したと思っていたし、最初に調査した01年には密猟がひどく、ライオン1頭たりとも存在できる環境とは思えなかった」とヘンシェル博士は語る。
当時はライオンのえさとなるバッファローやシマウマといった動物の多くも密猟で激減していた。02年に国立公園ができたことで、ライオンなどの動物が住める環境になったのだろうとヘンシェル博士は言う。
ヘンシェル博士は、このライオンは隣国のコンゴ民主共和国(旧ザイール)から少なくとも250キロ移動してきたと推測。パートナーとなる雌のライオンを探して故郷を出た可能性が高いという。
「雄が生まれた地域を離れるのは普通のことだが、まさかこんな長距離を移動するとは思わなかった」
次のステップは、このライオンがどの亜種に区分されるか見きわめることだと博士は言う。そうすれば、同じ亜種の雌を放してつがいにすることもできるかもしれない。