ネット接続はケータイで アフリカで進む「モバイル革命」

インターネットは携帯電話からが当たり前?

2015.05.17 Sun posted at 17:36 JST

(CNN) 固定回線ブロードバンドの契約率が世界で最も低いアフリカだが、近年、携帯電話を介して初めてインターネットに接続する人が急増している。通話だけでなく医療や金融サービスなど、さまざまな領域にモバイル技術が応用されており、「モバイル革命」とも言われる事態が進行中だ。

アフリカでは、携帯電話ユーザーの約70%が端末を通じてインターネットを使用。モバイル・ブロードバンドの伸び率は年40%となっており、世界平均の2倍だ。

背景には、固定回線用のインフラが弱いアフリカ特有の事情がある。このため、デスクトップのパソコンを通じてインターネットに接続するのは難しい。また、低価格や中古の多機能携帯電話(いわゆるフィーチャーフォン)の方がはるかに安く手に入ることから、モバイル端末の普及を一層後押しした。2016年までに10億人が携帯電話を持つことになると推定されている。

また、フィーチャーフォンの場合、充電が長持ちするのが大きい。電力供給が安定しないアフリカでは重要な点だ。

携帯電話を通じて、金融や医療、SNSなどさまざまなサービスが利用できる

ガジェット批評誌スタッフ・マガジンの編集者であるトビー・シャプシャク氏によると、アフリカでは電力にアクセスできる人よりも携帯電話を持っている人の方が多いため、「電話が機能するためにはバッテリーが長持ちする必要がある」という。フィーチャーフォンであれば、最大で1週間までバッテリーが持つのが魅力だ。

こうした背景から、モバイル技術がさまざまな用途に応用されるアフリカ特有の環境が生まれた。情報障壁の軽減、金融や医療サービスへのアクセスの改善、商機の拡大、人々のつながりの確保など、携帯電話の活用範囲は多岐にわたる。

その代表例が、2007年にナイロビで立ち上げられた「M-Pesa」だ。携帯電話のボタン1つで遠隔地に送金できる。現在、1700万人がこのサービスを使用しており、取引金額は毎月11億米ドル(約1320億円)以上に上る。

購入した医薬品が偽造かどうかを判定する「mPedigree」というサービスもある。この携帯アプリを使って薬の製造番号をテキストメッセージで送信すると、「本物」もしくは「偽物」という答えが返ってくる仕組みだ。

農業や商取引などさまざまな分野でモバイル技術が活用されているという

農業のように従来は通信テクノロジーと無縁だった領域にも、モバイル技術は進出している。天候、リアルタイムの市場価格、新しい農法に関する知見など、農家にさまざまな情報を提供する携帯アプリが相次いで登場した。

モバイル端末は芸術や文化の側面にも浸透している。「Badilisha Poetry X-Cange」は、アフリカの詩人の作品を集めたものとして世界最大級のアーカイブだ。携帯電話向けに作られたウェブサイト上で公開されている。

インターネット接続ができる携帯電話の普及は、アフリカの社会構造そのものに影響を与えている――。こう分析するのは、米インターネット決済大手ペイパルでモバイル推進部門の責任者を務めるマチ・ジデンマ氏だ。

ジデンマ氏は、モバイル端末を通じたインターネット接続がアフリカの状況を一変させたと指摘、「ソーシャル・ネットワークにアクセスできるようになったことで、若者は自己表現し市民社会に参加する場を手にした。選挙や統治、説明責任のあり方に大きなインパクトを与えている」と話した。

アフリカで「モバイル革命」

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。