ニューヨーク(CNNMoney) 米アップル創業者の故スティーブ・ジョブズ氏が闘病中だった2009年、現CEOのティム・クック氏が当時の上司だったジョブズ氏に、自分の肝臓を提供しようとしたというエピソードが、新たに出版されるジョブズ氏の伝記で披露された。
ジョブズ氏の伝記「ビカミング・スティーブ・ジョブズ」は出版を前に、内容の一部がこのほど米ファストカンパニー誌に紹介された。
それによると、当時クック氏は、衰弱が激しいジョブズ氏の容体を心配して血液検査を受け、自分とジョブズ氏の血液型が一致することを知った。詳しい検査を受けた結果、クック氏の肝臓の一部をジョブズ氏に移植する生体肝移植手術は成功する確率が高いと診断されたという。
肝臓は再生が可能な臓器で、クック氏の肝臓は一部を切除してもやがて元の大きさに戻り、ジョブズ氏に移植された肝臓も大きくなるはずだった。
しかしジョブズはこの申し出を拒んだ。伝記ではこう記している。
「彼は私がその言葉を口にする前に遮った」とクック氏は語った。「いや。君に決してそんなことはさせない。私も決してそんなことはしない」
ジョブズ氏はその後、肝臓移植手術を受けてその時は一命を取りとめたが、2011年にがんのため死去した。
ジョブズ氏が肝臓提供の申し出を拒んだのは、自分本位ではなかったからだとクック氏は振り返る。
「スティーブが私を怒鳴りつけたのは、知り合ってからの13年で4~5回だけだった。そのうちの1回がこの時だった」