クリミア併合時に「核の用意も」 プーチン大統領

ロシアのプーチン大統領。核兵器を臨戦態勢に置く用意もあったことを明らかにした

2015.03.17 Tue posted at 10:45 JST

モスクワ(CNN) ロシアのプーチン大統領は15日夜に放送されたテレビ番組で、同国が昨年3月にウクライナ南部クリミア半島を併合した際、核兵器を臨戦態勢に置く用意もあったことを明らかにした。

プーチン大統領はクリミア併合を巡る国営テレビのドキュメンタリーで、ロシアが核兵器を使う準備をしていたかとの質問に「その用意はあった」と返答。「クリミアは歴史的にわれわれの領土であり、そこに住むロシア人が危険にさらされているのを放置するわけにはいかないと、同僚たちに伝えた」と述べた。

大統領は一方で、それは最悪のシナリオになった場合の話だと語り、「世界的な紛争に発展させることはだれも望んでいなかったはず」との認識を示した。

ウクライナでは昨年、親ロシア派のヤヌコビッチ前大統領が、激しい反政府デモの末に追放された。ロシアはこれを「ウクライナの民族主義者によるクーデター」と呼んで非難した。

ロシア系住民が過半数を占めるクリミア半島では中央の政変を受け、正体不明の武装勢力が政府機関や軍事施設を占拠。3月16日にロシア編入の是非を問う住民投票が実施された。

投票では圧倒的多数の賛成で編入が決まったが、ウクライナ新政権や欧州連合(EU)、米国は武力による威嚇があったとして、投票結果の無効を主張。欧米諸国はロシアやクリミア分離派の指導者らに経済制裁を科した。

プーチン大統領は番組の中で、ヤヌコビッチ前大統領が追放されるまではクリミアをウクライナから分離させることなど考えていなかったと述べた。

「クリミアの人々を民族主義のブルドーザーにひかれるままにしておくわけにはいかない」との思いから具体的な指示を出したが、同時に「これが住民の願いだと確信できることが必須条件だ」と強調したという。

プーチン大統領はまた、ヤヌコビッチ前大統領を追放した勢力には米国が背後で加担していたとの見方を改めて示し、「制裁はクーデターを画策した者にこそ科すべきだ」と主張した。

インタビューがいつ収録されたのかは明らかでない。プーチン大統領を巡ってはこの数日間、動静が報じられないとして健康不安説も流れていたが、16日には本人が再び公の場に姿を見せた。

クリミアの住民投票からちょうど1年がたった16日、ドイツのメルケル首相はポロシェンコ・ウクライナ大統領との会談後の記者会見で、ロシアによるクリミア併合は違法だと改めて主張した。

メルケル首相はウクライナ政府軍と親ロシア派の戦闘が続く東部ルガンスク、ドネツクの情勢についても、先月成立した停戦合意が完全に履行されなければ、EUはロシアに追加制裁を科す用意があると述べた。

「核の用意も」 プーチン氏

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