(CNN) 韓国統一省当局者は14日までに、北朝鮮当局が南北経済協力の象徴的な事業である開城工業団地で働く同国従業員の月給を約5.5%増の164.10米ドル(約2万円)相当に引き上げる要求を突き付けてきたことを明らかにした。
現在の月給は平均で155.50ドル。韓国政府は北朝鮮側の今回の一方的な要求は、同団地運営に関する現行協定に背くものと反発している。同省当局者は、同団地の操業に関する交渉事項は韓国政府に一任されており、個別の韓国企業が昇給に応じた場合、処罰を科す可能性も否定しなかった。
北朝鮮の昇給要求は今年2月下旬に明らかになったもので、韓国政府は対応策を検討している。
ただ、同団地に入る韓国企業の間では問題が解決しない場合、工場閉鎖にもつながりかねない事態を懸念する声もある。また、要求の昇給額は小幅なもののこれを受け入れた場合、悪しき前例になって団地での将来の操業が成り立たなくなることへの不安も出ている。
軍事境界線の北部の北朝鮮内に位置する開城工業団地は2004年に操業を開始。約125社の韓国企業が進出し、雇用する北朝鮮従業員は5万人以上。韓国企業にとっては安い人件費での事業活動が魅力となっており、北朝鮮にとっては貴重な外貨獲得源となっている。北朝鮮当局は従業員の月給から一定額を徴収しているとされる。
従業員の月給の賃上げ問題に絡む対立は過去にも発生。13年には朝鮮半島での緊張の高まりを受け、北朝鮮は団地を数カ月間閉鎖する強硬措置にも出ていた。
北朝鮮従業員の昇給要求、月給2万円に 南北工業団地