イスラエル、ミサイル防衛で増額要請 対立目立つ米国に

2015.03.05 Thu posted at 17:42 JST

ワシントン(CNN) 米共和党の議会筋は5日までに、イスラエル政府がイランを念頭に置いたミサイル防衛システムの能力向上に向け3億ドル(約300億円)以上の追加支援の承認を米議会に促していると述べた。CNNに明らかにした。

米国防総省が議会に既に求めた1億5500万ドルを上積みするものとなっている。同筋はまた、イスラエルはイランの長距離弾道ミサイルを迎撃する「アロー3ミサイル」や短距離弾道ミサイルなどを想定した「ダビデ・スリング」ミサイル防衛システムの調達資金を初めて求めたとも述べた。

米国、イスラエル両国は現在、イランの核開発への対応策などを巡って反目を続けているが、イスラエルは軍事援助の面でしたたかに増額を迫る格好ともなっている。

米国防総省がイスラエルのこれらの要望にどう対処するのかは不明。米国防予算は政府の財政赤字削減で切り詰めを強いられており、イスラエル側の要請に応じるためには他の予算縮小を迫られる事態にもなりかねない。ただ、同省がこの選択肢を取る可能性は少ないともみられる。

米国、イスラエル両国関係ではイスラエルのネタニヤフ首相が最近、オバマ政権の反発を無視し共和党の招待に応じる形で米連邦議会で演説し、両首脳間の不和が深まった。同首相は演説で、オバマ氏がイランとの間で進める核交渉を指弾してもいた。

両国関係の現状を考えれば、ミサイル防衛システムに関するイスラエル側の要望の実現は難しい状況にある。米国によるイスラエルへの援助は軍事面を含め毎年30億ドル以上に達している。

一部の米議会筋は、イランの核問題に根差す米国、イスラエル間の意思疎通の欠如は両国間のミサイル開発資金の要求にも悪影響を及ぼしていることを示唆。議論の中断が目立つのはイランの核兵器問題ともされる。同国の弾道ミサイルは核兵器の運搬手段にも成り得る。

複数の米情報機関当局者はここ数カ月間、イランは長距離弾道ミサイルの開発努力を拡大していると警告。イスラエルへの攻撃能力や大陸間では恐らく欧州と米国東海岸を標的にし得る数年内の能力取得を目標にしていると分析した。

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