子どものポリオ予防接種を拒否、500人以上の親逮捕 パキスタン

パキスタンではポリオの予防接種率が低迷

2015.03.04 Wed posted at 18:01 JST

イスラマバード(CNN) パキスタン北西部カイバル・パクトゥンクワ州の警察は2日、州都ペシャワル周辺で、子どもにポリオ(小児まひ)の予防接種を受けさせなかった親513人を逮捕した。

警察幹部によると、親たちは子どもにワクチン接種を受けさせるとの宣誓書に署名すれば、保釈が認められる。

ポリオは予防接種の普及により、世界のほとんどの地域でほぼ根絶された。しかしパキスタンは紛争による避難民が多いことや、予防接種への不信感が根強く医療チームへの襲撃も相次いでいることから、接種率が低迷している。

世界ポリオ根絶のためのイニシアティブ(GPEI)によると、昨年1年間に世界で最も多いポリオ患者が報告されたのは同国の327人、2位はナイジェリアの36人だった。今年に入ってポリオの診断を受けた10人のうち、9人が同国の患者だ。

カイバル・パクトゥンクワ州当局は州内の子ども270万人への接種を目指し、2週間前からキャンペーンを開始したが、親が拒否した例は1万3000件に上っているという。

「パキスタン・タリバーン運動」はポリオ予防接種の禁止を主張

同国で国連児童基金(ユニセフ)のチームを率いるビラル・アハマド博士によると、一部地域では多数の家庭がそろって接種を拒否している。当局は現場の職員やその上司、さらには地元の長老による説得を試みた末、「最後の手段」として逮捕に踏み切ったとされる。

パキスタンでは2011年、国際テロ組織アルカイダの指導者オサマ・ビンラディン容疑者を追跡していた米中央情報局(CIA)が、ポリオ接種と称して同容疑者の家族らのDNAサンプルを採取したことが知られている。

12年6月には北西部の部族地域を拠点とするイスラム過激派「パキスタン・タリバーン運動(TTP)」が、米軍の無人機攻撃が続く限り、同地域の北ワジリスタン地区でポリオ予防接種を禁止すると発表した。

国家緊急当局によると、同年12月以降、接種チームへの相次ぐ襲撃で70人以上が死亡している。

子どものポリオ予防接種を拒否した親逮捕 パキスタン

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