ワシントン(CNN) 米国のクリントン前国務長官は在任中、国務省のメールアカウントを持たず、公務に個人のアドレスだけを使っていたことが分かった。これについて、文書管理に関する政府の規定に違反していた可能性が指摘されている。
国務省高官が2日明らかにし、米紙ニューヨーク・タイムズが同日夜、最初に報じた。
クリントン氏は2009~13年に国務長官を務めた。在任中の12年、リビア東部ベンガジで米領事館襲撃事件が発生し、駐リビア大使ら4人の米国人が死亡。この事件を調べている下院の特別委員会は国務省に対し、クリントン氏ら当時の高官のメールを提出するよう求めている。
クリントン氏が個人アドレスしか使っていなかったことは、提出されたメールから判明した。
米国立公文書記録管理局(NARA)は13年、政府機関内での個人アドレスの使用を「緊急の場合」に限定し、使用時の保存・管理を義務付けるルールを設定。これに先立つ09年から、職員が個人アドレスを使う場合は記録の保存が必要との見解を示していた。
しかしニューヨーク・タイムズによれば、クリントン氏の補佐官らは当時、同氏の個人メールを保存するための方策を講じていなかったという。
これに対して同氏の報道官は3日、国務省職員のアドレスにあてた公務のメールはすべて職員側で保存されたはずだと説明した。
国務省のサキ報道官によると、同省は特別委員会の要請を受け、クリントン氏を含む歴代長官に個人メールなどの記録を提出するよう要請した。クリントン氏が提出した在任中のメールのうち300通をすでに委員会へ回したという。
クリントン氏は民主党の次期大統領候補として有力視されているが、共和党議員らはベンガジの事件などで同氏の責任問題を指摘。メールの問題が浮上したのを機に、「クリントン氏は何を隠そうとしているのか」と追及の手を強めている。
個人アドレスだけ使用 クリントン前国務長官