ISIS覆面男からのメール、英人権団体が公開

「ジハーディ・ジョン」と呼ばれる覆面の男

2015.03.02 Mon posted at 12:40 JST

(CNN) イスラム過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」による人質殺害ビデオに繰り返し登場している覆面姿の男、通称「ジハーディ・ジョン」が数年前、英人権団体に送っていたとされる電子メールが公開された。英当局から不当な扱いを受けたとの主張が書かれている。

覆面の男はクウェート生まれの英国人、ムハンマド・エムワジ容疑者と特定されている。英国でイスラム教徒の人権擁護活動を展開する団体「CAGE」によると、エムワジ容疑者は2010年、同団体に助けを求めるメールを何通か送っていた。

このうち同年6月3日付のメールでは、クウェートへの渡航計画を英当局に阻止されたと主張。空港で拘束され、6時間に及ぶ取り調べで指紋採取や身体検査を強要されたうえ、暴力的な扱いも受けたと訴えている。

メールにはさらに「出身地のクウェートで仕事や結婚相手も見つけ、新たな生活を始めようとしていたのに、まるで犯罪者のように扱われた」「もう英国にはいたくない。助けてほしい」と書かれていた。独立警察苦情委員会(IPCC)にも正式に訴えたとしている。

しかしCAGEの報道担当者によれば、こうした主張を立証することは難しい。IPCCは、取り調べが行われた部屋にカメラは設置されていなかったと説明しているという。

CNNはこの件について英当局への取材を試みたが、返答は得られなかった。

CAGEが公開したメール

一方、英国のメディアが法廷文書から得た情報として伝えたところによると、エムワジ容疑者はアフリカ東部ソマリアのイスラム武装勢力「シャバブ」への資金提供や勧誘活動で知られるロンドン市内の集団のメンバーだった。5年間以上にわたり英当局の監視対象となっていたが、13年に姿を消した。友人らによれば、この時期に名前を変えてシリアへ渡ったとされる。

専門家らの指摘によると、当局は10年の時点で、エムワジ容疑者がソマリアでシャバブに参加しようとしているとの疑いに基づき、クウェート行きを阻止したとみられる。

CAGEに先立ち、英紙デーリー・メールもこのほど、エムワジ容疑者が10~11年にかけて同紙編集者へ送ったとされるメールの抜粋を公開した。

同容疑者はメールの中で警察や情報当局に追い回されていると訴え、自殺願望を示唆。「殺されるのが怖いというより、いつか自分が永遠に眠れるよう大量に薬を飲んでしまいそうで怖い。とにかくこの人たちから逃れたい」と書いていた。

メールのあて先となっていた編集者は、10年に同容疑者を取材した時の印象として、妄想に近い恐れやゆがんだ被害者意識を抱いているようだったと指摘する一方、「後にシリアで犯した残虐な殺人行為が、それによって正当化されることは決してない」と強調した。

黒覆面の男、その正体は

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