ウクライナ東部停戦、重火器撤去進む ガス問題が再燃

ウクライナ軍が重火器の撤去を進めている

2015.02.28 Sat posted at 16:06 JST

ウクライナ東部ドネツク(CNN) ウクライナのポロシェンコ大統領の報道官は27日、東部の親ロシア派武装勢力との新たな停戦合意に従い重火器の一部の撤去を開始したと発表した。ツイッター上で明らかにした。

ただ、前線地帯にいつでも再配備出来る準備をしているとも述べた。一方、東部ドネツク州で「ドネツク人民共和国」の樹立を宣言した親ロシア指導者は保持する重火器の9割を撤収させたと主張した。

その上でウクライナ政府が重火器の引き揚げに応じなかった場合、戦闘地帯に再度送る権利を有するとも述べた。CNN取材班は26日、ウクライナ国旗を掲げる砲門を積んだ小規模の車列を確認。親ロシア派はこの数日前に撤収を始めていた。

新たな停戦合意はベラルーシの首都ミンスクでの協議で今月12日に成立。重火器の引き揚げは来月2日までに終了させる条件となっている。また、幅が少なくとも50キロの重火器のための緩衝地帯の設置でも合意していた。

ミンスクでの合意後、一部地域で衝突はあるものの全体として戦闘は減った

重火器の撤収や停戦履行の確認は、欧州安保協力機構(OSCE)が担っている。政府軍と親ロシア派武装勢力間の交戦は減っているとされるが、砲撃音が聞こえることもあり停戦維持がもろい状況にあることに変わりはない。

ウクライナ国家安全保障防衛会議は27日、衝突は依然続いており過去24時間で軍兵士3人が死亡、7人が負傷したことも明らかにした。

一方、ロシアのノバク・エネルギー相は28日までに、ウクライナが天然ガスの代金を数日内に支払わなければ国営企業ガスプロムによる同国への輸出を打ち切ると警告した。

ロシアのタス通信によると、同社は27日、ウクライナが前払い代金として1500万ドル(約18億円)を納めたことを確認。ただ、この金額は供給の1日分に過ぎないとしている。

ガス問題が再び火種となるか

ガス問題に関するウクライナ、ロシア両国間の対立はこれまでも再三表面化。欧州連合(EU)、ロシアとウクライナは来月2日にベルギー・ブリュッセルで新たな協議も予定している。支払い問題が決着しない場合、欧州諸国へのガス供給に支障が出る可能性もある。EU加盟国は天然ガス供給の約3分の1をロシアに頼り、このうちの15%はウクライナ内を通過するパイプラインで確保している。

ただ、真冬は既に過ぎており、ロシアからのガス流入が止まったとしても悪影響はそれほど深刻にならないとの見方もある。ウクライナにはガスの備蓄分があり、EU加盟国がパイプラインを使ってウクライナにガスを補給する選択肢もある。

ロシアによる今回のガス供給に関する警告と、EUが現在進めているガスプロムの事業活動への調査を絡める指摘もある。EUは、ガスプロムが支配権を行使し得る地位を悪用して価格操作を行い、欧州大陸内での自由な流通を妨げているとも疑っている。

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