ロンドン(CNNMoney) ロシアの警察当局者は28日までに、同国の住民が便宜を図ってもらうため行政当局者らに支払う賄賂の平均額が昨年、37%増えたと報告した。
モスクワの警察幹部は地元メディアに、同市での賄賂の標準的な金額は昨年、32万7000ルーブル(約64万円)であることを明らかにした。過去5年で10倍以上の水準となっている。ロシア政府によると、2009年時点での賄賂の平均額は2万3000ルーブルだった。
賄賂が高騰した背景には、物価高などに悩まされる自国経済の苦境がある。ロシアはエネルギー輸出国だが、現在は原油価格の落ち込みに直面。さらに、ウクライナ危機に伴う欧米諸国の経済制裁で財政も悪化している。
ルーブルの対ドル交換価値は過去半年で40%も下落。モスクワの警察幹部は、賄賂の値上がりは収賄側が多くの場合、ルーブル以外の通貨での支払いを求めることにも原因があるとした。
賄賂はロシア国内ではびこっており、国際NGOのトランスペアレンシー・インターナショナルの汚職指数によると、同国は175カ国中、136位。ナイジェリア、レバノン、キルギス、イランやカメルーンと同じ順位となっている。
同NGOによると、ロシア国民の4人に1人が賄賂支払いの経験を持っていた。
同国での賄賂の多くは、政府事業の契約、建設事業や土地配分などに絡むとされる。政府も汚職根絶に乗り出し、企業に対し取引に関わる詳細な情報提供を義務付け、関係当局による収賄者摘発の権限を拡大した新たな法律も制定した。