(CNN) 自分たちが出した1週間分のごみに囲まれて、家族で記念撮影――。米カリフォルニア州の写真家、グレッグ・シーガル氏の連作が話題を呼んでいる。
タイトルは「7日間のごみ」を意味する「7 Days of Garbage」。「目を止めずにはいられない写真にしたかった」と、シーガル氏は話す。
米環境保護局(EPA)の統計によると、2012年に米国人が出したごみは約2億5100万トン。世界全体のごみの約4分の1を占めた。米国の人口は世界人口の5%にも満たない。
シーガル氏は「問題が大きすぎると気づかないもの。これは途方もない問題だ」と指摘する。
同氏は昨年1月にこのプロジェクトを開始した。20組の家族やカップル、個人に自分たちのごみを持参してもらい、カリフォルニア州アルタデナの自宅の裏庭で撮影することに。背景には雪原や森林、砂浜を再現した。
自然の中に横たわる設定で撮ったのは、「汚されていない場所などない」という現実を示すため。多彩な顔ぶれを登場させたのは、「これはだれ一人として避けることができない、普遍的な問題」と訴えたかったからだ。
自分のごみをさらけ出すことに抵抗を示す相手には、報酬を支払って説得した。「それぞれの知識や環境への意識により、反応はさまざまだった」という。
だがほとんどの人にとって、撮影は現実を直視するきっかけになったようだ。「恥ずかしいから」とごみを全部持ち込まず、事前に仕分けしてきた人もいた。
スタイリストのマイルズ・シギンズ氏はオーダーメードのスーツ姿でルブタンのパンプスを履いた妻と並び、ごみの中でポーズを取った。
エコ意識の高さを自認するアニー・チャウさんも、夫婦に子どもたちの4人家族で写真に納まった。撮影後には「リサイクルごみがたくさんあって、見せるのが恥ずかしかった。もっと市場で買い物をして無駄を省き、プラスチックを消費しないよう心がけなければ」と反省の言葉を口にした。
シーガル氏によれば、「子どもたちへのいい教育になった」と喜ぶ人も多かったという。
同氏は08年にも「Detritus」(有機堆積物の意味)と題し、ごみでできた人形が世界を旅する連作写真を発表した。これらの作品には「私たち自身の姿を今までになかった視点から見せるという社会的なテーマがある」と、同氏は話している。