ISISへの武力行使承認、オバマ米大統領が議会に要請

オバマ米大統領。議会に対し、ISISへの武力行使の承認を求めた

2015.02.12 Thu posted at 11:27 JST

ワシントン(CNN) オバマ米大統領は11日、イスラム過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」に対する武力行使の承認を求める決議案を議会に提出した。

決議案は、米国が半年前から行っているISISに対する武力行使について、正式に議会の承認を求める内容。オバマ大統領は同日午後の記者会見で、「これは困難なミッションであり、当分は困難であり続ける」としながらも、「我々の連合は攻撃側にあり、ISILは守勢にある。ISILは敗北する」と力説した。

会見にはバイデン副大統領、ケリー国務長官、ヘーゲル国防長官が同席した。オバマ大統領は決議案について、「体系的、持続的な空爆」と地上部隊の支援や訓練、人道支援の承認を求めると説明。

一方で、イラクやシリアへの地上部隊の配備は求めていないと述べ、「米国が中東で再び地上戦に戻ることがあってはならない。これは我が国の国家安全保障上の利益にはならず、ISILを打ち負かすためには不要だ」と強調した。

ただし決議案では、軍が「予期しない状況」に直面した場合は「柔軟」な対応を認めるとし、現地に特殊部隊を派遣する可能性を残した。

ISISへの武力行使に関する大統領の権限は3年に限定し、「持続的、攻撃的な地上戦闘作戦」は承認しないという文言を盛り込んでいる。

決議案自体については幅広い支持が得られているという

オバマ大統領は議会宛ての書簡の中で、決議案が通過すれば、大統領には「限定的な状況における地上戦闘作戦」を承認する権限が与えられると説明。この中には救出作戦や、特殊部隊による「ISIL指導部に対する軍事活動」が含まれるとした。

また、ISISは米国家安全保障上の利益や地域の安定にとって「重大な脅威」を投げかけると指摘。「いわゆるISILはイラクとシリア、および中東の人々や安定を脅かし、米国家安全保障を脅かす」「米国の人員や同地にある施設を脅かし、米国民の殺害にも関与した」と述べ、ISISに拘束されて死亡したジェームズ・フォーリーさんやケイラ・ミューラーさんらの名を挙げた。

同決議案は議会の幅広い支持を得ているものの、武力行使に関して大統領にどの程度の権限を認めるかについては意見が分かれている。

下院の野党共和党指導部からは、大統領の権限を過度に限定すべきではないとの批判が出ており、ベイナー下院議長は10日の声明で、「この敵に打ち勝つためには包括的な軍事戦略と強い権限が必要だ」と指摘した。

一方、民主党のペロシ下院院内総務は11日の記者会見で、「大統領の権限を制限しながら米国民を守る措置について、超党派の支持が得られることを期待する」と語った。

米大統領、武力行使承認を議会に要請

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